理不尽な論理
さらに川村検事は、日常の行動すら人格攻撃の対象にした。私がトイレに行こうとしたときも、服従する態度をとるよう求めてきたのだ。
江口 トイレに行きます。
川村検事 トイレがなんだ。
江口 トイレに行きます。
川村検事 「行きます」じゃなくて、「行きたいです」でしょ。
江口 トイレに行きます。
川村検事 「行きたいです」
江口(沈黙)
川村検事(事務官に) まあいいや、じゃあ呼んで。なんで言い直さないんだ。
(江口が離席し、戻ってきて着席する)
川村検事 取調べ中断してすいませんでしたとか言うんじゃねえの、普通。子供じゃないんだから。あんた、被疑者なんだよ。犯罪の。(10月23日)
取調べの場は、毎回緊張を強いられる。普段の生活をしているときよりも、トイレに頻繁に行きたくなる。私だって好きでトイレに行っているわけではなく、尿意がコントロールできなくなるのだ。それなのに川村検事は、トイレのときはおうかがいを立てるよう求め、戻ってきたら謝るよう迫ってきた。
川村検事は私が犯罪の被疑者だからという理由を挙げるけれど、私は被疑者である前に、ひとりの人間なのだ。それなのに彼は、「被疑者だから」と理不尽な論理を押しつけ、あたかも人間としての格が数段下がっているかのように扱った。
「詐欺師的な類型」とまで言われ…
このような人格攻撃は、逮捕から2週間以上が経っても止まらなかった。かえって、それまでよりも踏みこんだ暴言へと変化していった。
誰がそんなあなたのことを信用するんだ、今後、そんな態度で。噓に噓を重ねることになりますよ。もともと噓つきやすい体質なんだから、あなた。……隠したりとかね、こっちが聞かないから答えないとかさ、そういうのは往々にして取調べでもあるんですよ。だけど、こんなにはっきり、取調べにおいてね、明確な噓をつくのって、ちょっとやっぱ特殊な人が多いですよね。やっぱ詐欺師的な類型の人たちですよ。あなたもそこに片足つっ込んでると思うな。(11月1日)
逮捕前の任意の取調べのとき、私は真剣に記憶をたどり、真面目に事実経過を述べていた。それを真正面から「噓」と決めつけられ、「詐欺師的な類型」とまで言われるのだ。記憶を語る努力が噓と断じられることは、悲しかった。なぜここまで罵倒されなければならないんだ、と悔しくもなった。
