物件情報を探すとき、最初に目にするのは不動産ポータルサイトが多いだろう。ここ数年、成約済みの物件なのに「ご紹介が可能です」とユーザーへ連絡が来るなど、悪質な業者による「おとり広告」が問題視されてきた。私たちは何に気をつけてポータルサイトを利用すればいいのか、不動産・住宅情報サイト「SUUMO」編集長の池本洋一氏が解説する。
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どんな「おとり広告」と戦ってきたか
家賃がとても安い物件のウェブ広告などを見て、不動産事業者に問い合わせをしてみると「紹介できます」と言われ、店舗まで出向くと「先ほど、申し込みが入ってしまいました」と別の物件をおすすめされる……。実際には、広告に出ていた物件がすでに入居済みであったり、架空の物件のケースもある。これがいわゆる「おとり広告」だ。
社会問題化する不動産のおとり広告を撲滅しようと、2017年1月から、不動産ポータルサイト5社(at home、CHINTAI、HOME’S、マイナビ賃貸、SUUMO)と公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会(以下、公取協)が協力した施策がスタートしている。公取協から違約金の措置を受けた不動産事業者は、違約金だけでなく、主要ポータルサイトに原則1カ月以上広告を掲載できなくなる。我々が、どんなおとり広告と戦い、ユーザーは何に気をつけてポータルサイトを利用すればいいのか、具体的に明かしたいと思う。
出会う確率が高い「契約済み物件」
まず、おとり広告は3パターンに分類される。はじめに「架空物件」。物件が存在しないため、実際には取引することができないケースだ。2つ目が「意思なし物件」。物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件のことを指す。冒頭のように、非常に安い賃料などの好条件が提示されているが、いざ店舗に行ってみたら「内見できません」、「大家さんが変な人なんです」などという言い訳をして契約させないようなケースがある。3つ目が「契約済み物件」。物件は存在するが、すでに契約されているため、実際には取引の対象となり得ない物件だ。すでに入居者がいる物件や、申し込みが入っている物件のため、取引ができない。
ユーザーは、3つ目の「契約済み物件」に出会う確率がもっとも高いと思われる。最近「SUUMO」のカスタマーから寄せられた声を、いくつか紹介したい。