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おとり広告にだまされないために――異常に安い賃料の物件はもう手に入らない

2018/09/06
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「先ほどの物件は申し込みが入ってしまった」と代替物件を紹介

 部屋の内見を申し込んで、金曜日の午前中に見たいと言ったのに、不動産屋の都合で「月曜にしてください」と言われた。待っていたところ、週末の間に「他の人から申し込みが入ったから二番手でもいいか」とメールで連絡してきた。こっちは金曜に申し込んでいたのに……。「そちらの都合で月曜にするように言われただけで、私が一番手でしょう」と返信したら、音信不通になった。

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 7月中旬に、メールで空室確認を問い合わせ、夕方頃に「物件紹介可能」と返信があった。3日後に内見希望と伝えたところ、「先に店舗に来てほしい」と言われたため、その足で店舗へ。到着してすぐに、「この物件は今内見が入っている」、10分後に「先ほどの物件は、その方からの申し込みが入ってしまった」と言われ、代替物件を紹介し始めた。明らかに不審だったので「本当はいつから埋まっていたんですか?」と尋ねると、態度が豹変。恫喝するような口調で「申し込みが入ってしまうことはある。了承できなければ、物件探しなんてできませんよ!」と激怒された。

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 あくまでも一部ではあるが、こういった事例が現実に起きているのだ。借りられない物件なのに、広告として表示されてしまうケースの中には、悪質な業者が故意に掲載している場合もあるが、本当に申し込みが決まってしまった「タイムラグ」や契約成立後の「削除忘れ」というケースも、実は多い。

肝心なのはユーザーが故意の事例にどう気づき、対処するか

「SUUMO」の場合、不動産事業者に対して1週間に1回は情報更新してもらうとともに、他の不動産事業者やカスタマーからの指摘によって、契約済み・申し込み済みであることが分かった場合には速やかに物件情報を削除することを依頼している。また昨年10月からは、削除依頼だけではなく、契約済みが確認できた場合は、自社の判断で掲載を停止している。こういった対策によって「タイムラグ」や「削除忘れ」による、借りられない物件の掲載をかなり減らせることができるのでは、と考えている。

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 肝心なのは、先ほどの体験談のように、ユーザーが故意の事例にどう気づき、悪質な不動産事業者へどう対処するかだ。