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頭上からクマが落ちてきて……
クマとの危険な接触はこれだけではない。
2008年7月13日、歩道の両側の笹原の揺れに警戒しながらある現場に着く。私が読もうと思って椅子の下に置いたS・ヘレロ著『ベア・アタックス1』などの本が散乱している。
本には見事に咬み痕が残っていた。私は違うが、日本のクマ研究者たちが聖書のように崇めている本にアタックするとは良くできた子たちだ。
翌日7月14日、そのクマが来るのを緊張しながら待っていると突然、めりめりと腐木を割る音が聞こえた。驚いて音の方向を探すが見えず、それでも大きな音は続いた。「ちくしょう」と舌打ちをしながら空を見上げていたら、20メートル先の腐ったミズナラの上から、黒い塊がゆらゆらと体をくねらしながら降りてきた。
その1ヶ月ほど前に、このクマは腐った倒木を割ってヤマトシロアリを食べていた。その姿が印象深かったので、私は空を見上げるのを忘れており、危うい経験をした。幸い襲われることはなかったが、ヒヤッとしたものである。
安息の場であるべき自宅にクマが侵入して来て家族が襲われたら……想像するだけでぞっとするだろう。昭和戦後期には、そのような事故が多発していて、8人が重軽傷を負った例もある。
私の家にクマが侵入したときに私は喜んだ。そのとき、クマが長靴を容器にして食べ物を運ぶのを見たからだ。
