巨額の費用と世界的な関心が注がれてきたにもかかわらず、氏は「マデリンちゃんが失踪したあの日から、今なお何一つ前進していない」と語った。

イギリス中で祈りが捧げられた スコットランド・グラスゴー 2007年5月

ウィリアムズトマス氏は、独自の見立ても示している。マデリンちゃんはアパートの中から連れ去られたのではなく、両親を探して自ら外に出たところを狙われた可能性が高いとみているのだ。

失踪当日の朝、母ケイトさんが子どもたちに、両親が食事していた近くのバーの場所を説明していたことなどを根拠に、前夜に双子が泣いて起きた時と同じように、マデリンちゃんも両親を探しに部屋を出たのではないか、という仮説だ。

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「イギリスでは子どもが一人になってから40秒から60秒の間に誘拐された例があります。それほど一瞬で起こりうるのです。マデリンは両親を探しにアパートの外へ出て、その外で誘拐されたと考えています」

真相への希望と、失われた初動の重み

ウィリアムズトマス氏は、20年後でも30年後でも新しい情報は出てくると話す。

犯人や周辺人物の人間関係は時間とともに変わる。かつては口を閉ざしていた人が、年月を経て語り始めることもある。

マデリンちゃんの両親

さらに科学捜査の技術は進歩し、当時は分析できなかった微細な試料からも情報が得られる可能性がある。ただ同時に、現場や周辺で初期に採取された証拠があまりに少なく、防犯カメラも十分確保されていなかったことが、いまも大きな制約になっていると指摘した。 

 2003年5月に生まれたマデリンちゃんは、いまは22歳になった。

どれだけの月日が過ぎても、手がかりが見つからなくても、家族の姿勢は変わらない。支援への感謝を忘れず、前向きな知らせへの希望を持ち続け、あらゆる可能性を尽くすよう呼びかけている。

家族が長年抱えてきた痛みの大きさを思えば、その思いが報われる日が訪れることを願わずにはいられない。

【執筆:FNNロンドン支局長 髙島泰明】

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