「500万円を持ってこい」

 18時ごろ、犯人から電話が入った。受話器を取ったのは母親である。

「500万円(現在の貨幣価値で約5500万円)を持って花京院通りからレジャーセンターを斜めに下がり、市立病院から真っ直ぐに河北日報社まで進んでください。目印に白いマフラーをかけ、左手に新聞紙を持って歩くように」

 20時に指定の場所に行く旨を伝え電話を切った母親に対して、菅原家に張り込んでいた刑事は再び電話がかかってくるまで待つよう指示を出す。もう少しで逆探知に成功しかけていたからだ。

ADVERTISEMENT

 そして20時10分、この日、3回目の電話が着信。内容は「まだ出かけていないのか」と母親をせかすものだったが、彼女が意図的に会話を引き伸ばしたことにより逆探知が成功。発信元は菅原家から直線距離で700メートル足らず、国分町3丁目の仙台市役所前の公衆電話ボックスと判明した。

 捜査本部は警察官約950人を当該の電話ボックス近辺や、予想される逃走経路に配置。20時半、犯人を誘き出す囮として、母親が現金20万円を新聞紙に包み警察手配のタクシーで市立病院まで行った後、河北日報社の前まで歩き、そこでUターンして仙台電報局の方角に向かう。