トー横キッズの子どもたちを見て、他人事と思えないワケ

――別世界の存在のように思えてしまう。

小田切 そうなんですよ。私自身、二丁目に出入りしていた頃は、やさぐれた人や、道を外している人たちと触れ合って生きてきた過去があるので、トー横キッズの子たちなんかを見ていると他人事に思えないんですね。

 あそこには悪い人たちがいっぱいいて、道を外す場所なのでできる限り行ってほしくない。けれどもああいう場所に行ってしまうということは、導く人がいなかったということなんだと思います。

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――道標になるような大人に出会えなかったのかもしれませんよね。

小田切 そういうことですよね。人間ってすごく苦しい時や辛い時に、その状況を美化しようとするんですよ。私自身も「耐えなきゃいけない」と思っていましたし、耐える以外に選択肢がなかったんです。

 だからこそ「耐えている私はえらい」とか「耐えている私はいつか報われる」と思い込んでしまうんですけれど、それは違うと思います。

 耐えることが強さだと思っている方がほとんどだと思いますけれど、私は「逃げるのも強さ」だと思っていて。いくら居心地がよくても、そこから離れることの強さ、勇気というのは絶対に持たなければいけない。

 

「今どん底にいる人は、光るための準備段階だと思ってほしい」

――小田切さんは逃げたことで、今の自分があると思いますか。

小田切 絶縁って、すごく勇気がいるんですよ。一人で生きていくってものすごく怖いし、いくつになっても人間は未熟ですから、その不安は拭えないと思います。

 でもその一歩が幸せの一歩だと思いますので、今とてもつらい状況にあるのなら、そこから逃げて、自分の力で人生を切り開いていくことをおすすめします。

 厳しいことを言うようですけれども、どういう境遇であろうとも、「こんな傷を負ったからには絶対に負けない」という気持ちを持って、本気で生きようと思っていれば絶対に抜けられると思うんですね。その傷が深ければ深いほど、それは強力なバネになる。

――傷ついて生きてきた人こそ、強く生きていける可能性を秘めているのですね。

小田切 そういう方ほど、おそらく本気で成功できるといいますか、本気で抜け出せる人なんじゃないかなと思います。でも、抜け出すためには導きが必要なんですよね。だからこそ、救いの手を差し伸べる言葉に出会えるかどうかってすごく重要で。

 私がよく言うことなんですけれど、すべてにおいて光るものには、その裏に必ず影があるんです。メイクアップでもそうですが、光を入れると影が出るんですよ。影が強いと光が強くなる。これって本当に人生だなと思っていて。

――ご自身も、暗い過去があったからこそ、光ることができている?

小田切 そうです。だから今どん底にいる人は、暗い影の中にいるかもしれないけれども、それは光るための準備段階だと思ってほしい。

 綺麗事に聞こえるかもしれませんし、今は感じることができないかもしれないけれど、絶対にそうだから。もともと光っているだけの影のない人たちよりも、あなたたちはすごく輝くことができる。今はそのチャンスなんだよ、ということは伝えたいですね。

 

撮影=三宅史郎/文藝春秋

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