あっけなく逮捕されたが…

 警視庁は身代金誘拐と断定し渋谷署に捜査本部を設置。マスコミとの間に報道協定を結んだ後、捜査員100人を動員し、極秘に聞き込み捜査を実施すると同時に、警視庁管内の全警察署と交番、外勤警官に事件内容と、正寿ちゃんの特徴を伝達する。

 重要な証言は登校を共にした2人の同級生から得られた。彼らによれば、正寿ちゃんを拉致した犯人は事件の2日前、正寿ちゃん宅にほど近い恵比寿東公園で正寿ちゃんや自分たちを含む子供たちと遊んでいた若い男だという。

写真はイメージ ©getty

 このことから捜査本部は、犯人が同公園で正寿ちゃんに狙いをつけ、登校時を見計らいさらったものと推定する。

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 逮捕はあっけなかった。翌9月11日午前0時1分、渋谷区渋谷3丁目18番地の渋谷署前の路上で、うろうろしていた若い男を捜査1課の巡査部長と渋谷署捜査係の巡査が職務質問すると、男が持っていたビニール袋を投げ出し逃走した。

 ほどなく取り押さえられ、所持品を検査したところ、包みの中に正寿ちゃんの靴が入っていたことから署に連行した。

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 当時19歳の男は事情聴取で正寿ちゃんを殺害し、死体を遺棄したことを自供。遺体を渋谷駅に放置した、身勝手で残酷な「犯人の正体」とは――。

次の記事に続く 「芸能人のような生活をしたかった」7歳少年を殺害した『血も涙もない誘拐犯』の正体(昭和44年の事件)