「先祖への思いやりがない」と父に激怒されたケースも
2024年に結婚した30代の男性会社員、遠藤さん(仮名)の妻は、「どうしても名字を変えたくない」ひとりだった。結婚前の話し合いでは、「女性だからという理由で、慣れ親しんだ名字を変えたくない。だから事実婚にしたい」と希望していたという。
「正式なパートナーとして認められたい」という思いが強かった遠藤さんは、相手の思いを受け入れ、自身が名字を変えることを選んだ。しかし、それを両親に報告すると全く想像していなかった反応が。「父の言葉を聞いて愕然とした」と遠藤さんは振り返る。
「私自身も改姓に抵抗がなかったわけではありません。できるなら夫婦別姓にしたかった。ですが、それ以上に正式な結婚がしたかったんです。そうした思いを両親に伝えたところ、父親から『男性が名字を変えるなんてありえない。おまえは遠藤家を大事にしていない。先祖への思いやりが足りていない』と強い言葉で非難されました。父親に男尊女卑の価値観があるように感じられ、強いショックを受けました」
遠藤さんは、父親の反応を妻に伝えることができなかった。彼女は、日頃から「女性の人権」に対する問題意識を抱いており、遠藤さんもその価値観に強く共感しているのだという。
「私にも、女性の社会進出や自由を応援したい思いがあります。だからこそ『名字を変えたくない』という妻の思いもすんなりと受け入れられました。止むを得ず、半ば無理やり婚姻届を提出して両親に事後報告したのですが、父はある条件を突きつけてきたんです」
その条件とは、以下の3点だ。
1、公の場では「遠藤」を名乗り、改姓したことを周囲に言いふらさない
2、選択的夫婦別姓が導入されたら、即座に「遠藤」に戻す
3、子どもが生まれたら、子どもの名字を「遠藤」にする(遠藤家に養子縁組をする)
「会社では旧姓を使い続けていますし、できるなら別姓にしたかったわけで、1と2については問題ありません。ですが、3については断固拒否しました。私は一人っ子であり、遠藤家が途絶えることが悲しいという父の気持ちはわかります。しかし、子どものことを全く考えていない条件を突きつけてきたことに、非常に残念な気持ちになりました」