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困ったレッスン生
里美さんが勤めていたバレエ教室では年2回の発表会があり、それぞれの講師が担当する演目にレッスン生が申し込む形を取っていたが、里美さんが担当する『ドン・キホーテ』に申し込んできた7人のうちの1人が高橋だった。
だが、高橋は「足をもっと上げて」と指導されても、「それは何センチぐらいまで上げればよいか」まで説明しないと理解できないタイプだった。しかも、レッスンの一部始終を勝手に動画撮影し、「それは他の練習生の迷惑になりますからやめてください」と言っても聞く耳を持たなかった。はっきり言って、困ったレッスン生だったのである。
発表会まであと1カ月に迫った頃、里美さんは希望者を集めて補講をしたことがあった。ところが、そのことを高橋が聞いていなかったため、「自分だけ直接連絡を受けていないのはどういうことなのか?」と激しく詰め寄った。
里美さんは「伝え漏れだとすれば、申し訳なかったです」と謝罪したが、その日は普段はやらない撮影チェックをしていたことを知り、高橋は再び抗議。うんざりした里美さんに「申し訳ありませんでした!」と吐き捨てるように言われ、人知れず恨みを抱くようになった。
発表会が終わった後、高橋は里美さんをつかまえて、しつこく詰め寄った。
「何かオレに言うことがあるんじゃないか?」