勉強の本質は「わかってやっている」という手触りにこそある
本連載は、科学的に正しいと立証された個別の勉強法を紹介するものでもなければ、それらに異を唱えるものでもありません。わたしはそのような資格をもっていませんし、そもそも、それらは非常に有用なのです。積極的に信頼していい。
わたしが本連載から読者のみなさんに持ち帰ってほしいと思っているのは、自分はその勉強にどういう意味があるかわかってやっているか、ということを自問する姿勢です。個々の勉強法そのものよりも、この「わかってやっている」という感覚、その手触りこそが、わたしの伝えたいことなのです。
これから紹介してゆくのは、たとえば次回の「ポモドーロ・テクニック」のような、きわめて有名だったり一般的だったり素朴だったりする技術が多いです。しかし、インターネットですぐに調べられるポモドーロ・テクニックのやりかたを説明することが目的では、もちろんありません。
本連載は、ごく一般的なテクニックやアイディアに別の角度から光をあて、第一にあなたもそれを今よりも上手に使えるようにすること、そして第二に、もっとずっと重要なこととして、ちゃんと機能する勉強の方法論を手に入れるとはどういうことなのか、それを理解してもらうこと、この2つを目標にしています。
わたしの認識は、勉強には量だけでなく質が重要だということです。もちろん、そんなことは誰でもわかっているでしょう。
しかし、ここでいう「勉強の質」というものの本質は「わかってやっている」ということにあるのだということは、あまり理解されていない。本連載の核になる主張は、そこにあります。
わかってやっていると、効果が上がりやすいだけではありません。勉強というものは、おおきな成果を生むまでに時間がかかることが多いです。そのなかなか結果が出ない長く暗い期間を「いや、こっちで絶対に合っているのだ」と確信しながら歩きつづけるための自信を、それは与えてくれます。
勉強がつまらないのは、あなたがまだ勉強を手に入れていないからだ
では、「わかってやっている」とは、つまり、ある方法論を抽象的な次元で深く理解するとは、たとえばどういうことなのでしょうか。
本連載ではその具体例をできるかぎり紹介します。それが直接に役立てば、それももちろん喜ばしいことではあります。しかし、ほんとうに受け取ってほしいことは、いかにしてその勉強法が間違いなく自分には機能するという確信をわたしが得るにいたったのか、その思考や検証のプロセスなのです。
本連載が提供したいのは、「勉強法」というよりも、「勉強法のつくりかた」のようなものです。ほかの学習者にはイマイチでも、あなたにとっては確実に効果を上げるような勉強。「有名なあの人が良いと言っていたから」といった根拠ではなくて、かりに誰かに否定されようとも、あなた自身がこれはこういうメカニズムで間違いなく自分の能力を育ててくれているのだと確信できるような勉強。
それを手に入れることはすなわち、「勉強を手に入れる」ことにほかなりません。それが本連載のタイトルに込められた意味です。
勉強が辛かったりつまらなかったりするのは、あなたが怠惰だからでもバカだからでもない。勉強を手に入れていないからです。その認識を切り替えることで本連載は、あなたの日々の勉強に、ひとつの希望をもたらすことを目指します。
