「東大・京大で1番読まれている本」として知られる『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(光文社)は7万5000部を超えるベストセラーになった。この本の著者である阿部幸大さんが、学術論文のテクニックを解説する。
論文の執筆で最も重要なのは、「事実(ファクト)」や「論理(ロジック)」ではなく、その主張に“飛躍”があるかどうか。「ファクト」や「ロジック」には“飛躍”がありません。“飛躍”がある「アーギュメント(主張)」を提示できているかどうかが肝心なんです。
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〈著書『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(光文社)で、一見、論理的でないような、それこそ“飛躍的な主張”をしているのは、筑波大学人文社会系助教の阿部幸大氏だ。「東大・京大で1番読まれている本」として版を重ね、累計発行部数は7万5000部(電子版も含む)。
本書が指南するのは、主に人文系の学術論文の書き方だが、ビジネスの企画書にも応用できるような貴重な知見に溢れている。
実際、日米文化史が専門の阿部氏は“論文のプロ”としても広く活躍し、筑波大学の人文社会系で初となる筑波大学発ベンチャー企業「Ars Academica」を運営し、学術論文の添削・研究アドバイスのサービス事業も行なっている。〉
「論文」とは“飛躍”だ
何となく、あるいは真剣に論文や研究書を読み、「前回よりも良い論文を書くぞ」という漠然とした意気込みをもって次の文章に取り掛かる――このような漠然としたトレーニングをいくら積み重ねても、論文執筆のレベルは向上しません。「論文の何たるか」を正確に理解していないからです。
しかし、ここに日本のアカデミズムの大きな問題があって、論文に決まったフォーマットがないのです。とりわけ人文系のアカデミック・ライティングは、神秘のヴェールに包まれていて、うまくカリキュラム化できていない。そこでまず「論文とは何か」を原理的に定義しようとしました。
