高い目標を立てる前に「自己評価」を修正せよ

 この背景には、自分の失敗経験があります。

 わたしは浪人時代、朝6時に起きて、毎日10時間勉強するという目標を立てていました。12時間だったかもしれません。まぁともかく、それを達成できたことは、1日くらいはあったかもしれませんが、ほぼ皆無でした。

 いま考えれば、そんなんおまえにできるわけねーだろ、という感じですが、当時の自分は「それくらいやらないとダメだ」と焦っていたのです。

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 で、問題は、そうやって高い目標を立てては失敗し、その失敗で、たえず自分を責めてしまっていたことです。浪人時代はわたしにとって、勉強そのものよりも、この自責がキツかった

「東大に入るぞ!」みたいな大目標はいくら無謀でもいいのですが、その達成には日々の小目標をこなすことが必要で、こっちはもっと具体的である必要があります。それを10時間に設定してしまった。そして、失敗しても、「でもやらなきゃ」と思い込んで目標の修正ができなかった

 わたしは当時の自分の失敗の原因を、「目標が高すぎた」というふうに分析していません。この問題の本質は、「自己評価が高すぎた」ことにあると思っています。

 なんども高い目標を立てて失敗しつづけるということは、「いまの自分にはその目標を達成する能力はない」という明白な現実を直視できていないことを意味します。

 当時のわたしは、「俺にはできるはずだ」と思い込みつづけてしまった。「できるわけないのに」ではなく、じっさい「ずっとできていない」という厳然たる事実があったのに、やっぱり変えられなかったのです。

 上記の経験から学んだことは、目標のまえに、まず自己評価を修正することでした。

 自分には10時間は無理。では、どのあたりなら自分にもコンスタントに達成可能なのか。では、10時間で失敗していたころ、浪人時代のわたしは、実質的に毎日どのくらい勉強できていたのでしょうか?

 そう、正確にわからないのです。

 ここに、勉強時間を純粋に計上できるポモドーロのメリットがあります。それは、現時点での日々の達成度を正確に把握し、そのうえで適切な目標を設定・修正することを可能にするツールなのです。

日々の記録を日記につければセルフ・モニタリングが可能に

 さて、脱線が長くなりました。じつは、ポモドーロの本領発揮は、ここからです。

 そもそも、浪人時代のわたしも留学時代のわたしも、ずっと1日2時間の勉強では困るのでした。じっさいは、もうちょっとやらないといけない。では、どうやって増やすか。

 ポモドーロ・テクニックを用いると、たとえば2時間という最低ラインから、1セット、2セットと、すこしずつ増やしてゆくことが容易になります。なんといっても1セット30分(25分)という手軽さがいい。「今日はあと1セットやっちゃおうかな」というモチベーションもわきやすいです。

 それはそうなのですが、そんなことはみなさんわかっていると思います。

 ここで提案したいのは、その日々の記録を日記につけることです。

©Unsplash

 留学時代のわたしは結局、2時間の目標達成が安定して、すぐに午後にも4セット2時間の勉強を追加して、4時間を基本セットにしていました。どの日も午後に4セットはやれていたからです。これでもまだヒマでしたが、これ以上ノルマを増やすことはしませんでした。

「日記」と言っても、その日の出来事について感想を述べるわけではありません。何時から何時までなにをしていたかを記録するだけです。

 ざっくりでいい。何時に起きて、何時から何時まで勉強して、何時に寝たか。ほかの細かい行動はどうでもいいのでスルーです。

 このように記録していたので、わたしはポモドーロの開始時間をつねに00分か30分に決めていました。こうすると日記が書きやすいほかに、もうひとつ利点があって、わたしは作業中にタイマーが視界に入ると気が散るのですが、開始時間を時計にあわせると、チラっと時計を見るだけで残り時間がわかるからです。

 おまけ。日記に感想は要らないと書きましたが、ただし、その日の調子のようなことは簡単に記録するといいです。なぜなら、記録してゆくと、4時間の日があったり、8時間の日があったりするわけですが、そこで8時間できた調子のいい日はなぜ調子がよかったのか、その条件を前日の行動などから推測できるかもしれないからです。

 ポモドーロ・テクニック。その本質は、作業を時間に換算し、かつ30分という単位を固定することで、計上を可能にすることにある。そして、それを日記として記録することで、リアルなセルフ・モニタリングが可能になる。

 今回はそういうお話でした。

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