リム 原題『破・地獄』は道教の葬儀儀式ですが、なぜこのタイトルをつけましたか?

チャン 毎回参列した葬式、あるいは自分の親戚の葬式を行う時には、必ず「破地獄」というセレモニーが行われます。これは香港独自の風俗で、香港人なら誰でも知っています。

 この「地獄」が指すのは、果たして死後の世界だけなのでしょうか。あるいは、死ななくても、私たちは日々地獄のような生活を送っているとも言えるのではないか。そうした疑問を映画に取り入れることで、自分の死生観や命に対する思いを反映できると思い、このタイトルを付けました。

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『旅立ちのラストダンス』

コメディ映画の新旧2大巨匠に出演依頼

リム テーマと内容はかなりシリアスだと思いますが、喜劇というスタイルで表現されたのはなぜでしょうか?

チャン 生と死をテーマにした映画をそのまま作ると、どうしても暗くて重くなるのではないかと思いました。僕はもともとコメディ映画の脚本家・監督でもあるので、シリアスな題材であっても、もっとリラックスして、笑いながら観られる形にできるはずだと考えていました。

 実際にさまざまな葬式に参列する中で、不条理でおかしな出来事に出くわすことも多くありました。そうした滑稽さを表現するためには、喜劇というスタイルが必要ではないかと思います。

『旅立ちのラストダンス』

リム そのため、香港コメディ映画の新旧2大巨匠、マイケル・ホイとダヨ・ウォンに主演をお願いしたわけですね?

チャン そうですね。この2人が揃って映画に出てくれた以上、観客もこの映画が決して暗い映画ではないと想像できたはずです。

リム 最初から2人に出演を依頼する前提で脚本を書きましたか?

チャン はい。この脚本を書いた時には、すでに2人に当て書きしていました。2人のコラボレーションは実に32年ぶりになります。『マジック・タッチ』(1992年)という映画でマイケル・ホイが監督・脚本・主演、ダヨ・ウォンが脚本・出演を担当しました。もし再び2人を共演させることができたら、観客の期待も膨らむのではないかと思いました。

 香港の誰もが知っている新旧世代を代表するコメディのスターが、笑いから遠く離れた生と死をめぐる真面目な映画で共演する。それは作り手である僕にとっても大きな挑戦になります。