「88世代」を年俸で比べてみると…
メジャーリーグで大活躍中の田中将大、前田健太は一旦横に置いて、45人の総年俸は約27億円(外国人選手除く)。国内では、
ギータ(柳田・ソフトバンク)5.5億円
坂本(巨人)3.5億円
秋山(西武)2.2億円
澤村(巨人)1.5億円
我らがカジ(梶谷・横浜)1.28億円
サブちゃん(福山・楽天)1.2億円
増田(西武)1.15億円
石川(ロッテ)1.1億円
の順番で、1億円以上稼ぐ選手が8人。カジがこの位置にいるというのが、僕からすると非常に嬉しい。同期入団の同級生で、寮の部屋も隣。練習では一緒に泥にまみれ、休み前もよく一緒に食事に行きました。先輩たちがタクシーで出かけていくかたわら、当時お金を節約して生活していた僕たちは、歩いて安針塚の駅(寮の最寄り駅)まで行って、電車に乗って横浜に行っていたことはもう10年も前です。いつか給料稼いだら、こういう車に乗りたい、洋服を好きなだけ買いたい、高級な焼肉を値段を気にせず食べたい、という一般的な20歳と同じような欲があって、日々一生懸命に戦っていました。今では1億円プレイヤー。1年でも長く続けてもらいたいです。
そして、カジと僅差にランクしているのがサブ(福山・楽天)。サブと同じ年(2012年)に横浜で戦力外通告を受けた僕からすると、クビから6年でカジと同じくらい稼いでいることもとても嬉しい。クビの翌年に日本一、その翌年にオールスター、そして4年連続65試合登板。「腕がちぎれても投げる。俺は一度クビになってるから、投げられなくなっても、ただクビになるだけだから、何も怖くない」と言ってたな。根っからの陽気な男でムードメーカーとして存在感を発揮していますが、「絶対に65試合投げ切る」と言って自主トレをしている時のサブの集中力と練習量は、もう異常なくらいでした。試合に出られる喜びを全身で表現し続けて、気がつけば1億円プレイヤー。僕はプロ野球という世界で1億円を稼ぐということの難しさを現場で体験し、そして両者がどんなプロセスでそこに到達したかを見ていたからこそ、心から嬉しいし、それを実現した彼らは本当にすごい。今では無条件に彼らのファンであるし、いつもカジとサブの結果は真っ先にチェックします。
調べてみると、外国人選手も意外に多くてビックリです。10人の同級生がおり、ロサリオ(阪神)が3.4億円、ロメロ(オリックス)2.87億円、ビシエド(中日)1.7億円、ベイスターズで今季大ブレイク中のソトも同級生。今季年俸3500万円は最高の活躍をしていると言えますね。彼らもまた、異国の地へ来て大金を稼ぐまでには、母国で相当な努力を積んで来たのでしょう。88世代外国人選手の総年俸は約11.4億円でした。
一旦横に置いた田中将大の年俸は、7年155億円契約の5年目で、今季の年俸は約22億円と言われています。マエケンの今季の基本給は約3.43億円。ただし、1年目の2016年はインセンティブ込みで約12.5億円を稼ぎましたから、今季も基本給以上は稼ぐでしょう。そう考えると、2人で日本にいる45人の総年俸を超えてしまうことになるんですね。マーケットの違いなのか、マネタイズの仕組みの違いなのか、いずれにせよ、すごい金額です。
僕たちが1年目、フェニックスリーグで宮崎に滞在中に88世代の食事会を開催しました。12球団が全て同じ場所に集まることは、この10月のフェニックスリーグだけ。僕は全球団の同級生にどうにかして連絡を取り、その年は確か24人が集まりました。焼肉屋を借り切って、会費は1人1万円。当時は全員19歳以下ですから、1万円というお金は決して安くはありません。お会計の時に、「請求書だけ、マー君に送ろうぜ」と言うのが、この会のお約束でした。1年目からバリバリ活躍していた田中が世代の稼ぎ頭であることはこのころから変わりません。
あれから12年。今みんなで集まって焼肉屋を借り切ったら、会費の1万円はあのころとは違う感覚でしょう。でも、「請求書はマー君に」は変わらないかもしれませんね。
※年俸金額は全て推定
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