「投手としての練習は1、2割だというのに甲子園初先発であの投球は驚き。まさにセンスの塊ですよ」
ベテラン記者が舌を巻くのは、センバツV2を果たした大阪桐蔭の“二刀流”根尾昂(あきら)選手(3年)だ。普段はショートを守るが、3月31日、明秀日立戦で登板すると、今大会最速タイの147キロのストレートを含む153球で1失点完投、11奪三振を記録するなど3試合で26回3失点。打者としても18打数9安打8打点と大当たり。
「身体能力の高さは“規格外”です。小6のときにソフトボール投げで何と88メートル92を記録。参考記録ながら、歴代1位だそうです」(スポーツ紙デスク)
その秘密は、両親から仕込まれたスキーにあるという。
「ご両親とも地域医療に尽くす医師で、スキーの指導員資格を持っています。根尾選手が生まれた当時は岐阜県飛騨市のスキー場近くの診療所に住んでいたため、彼は2歳からスキーを始めた」(同前)
中学2年のときにはスキーの全国大会男子回転で優勝。大阪桐蔭の西谷監督らが絶賛する体幹と下半身の強さは、スキーの賜物というわけだ。
小2で野球を始めると、中学はボーイズリーグでプレー。慶応高校を含む全国約30校から勧誘を受けた。
「本人は3年生の夏前に大阪桐蔭へ進むことを決めていましたが、医学部に進んで欲しかったご家族には葛藤があったはず」(当時を知るフリーライターの高野行正氏)
ちなみに根尾選手の3歳上の兄も現在岐阜大学在学中の医学部生で、姉も看護師だ。
「根尾選手本人は、山奥にある家から試合のたびに名古屋市内に送り迎えしてくれた両親に“プロになって恩返ししたい。そのためにトップレベルの野球部で鍛えたい”ということでした」(同前)
中学時代は学業成績も「オール5」で、同級生からも「野球も勉強も一生懸命で、本当にリスペクトしてます」という声が聞かれるという。
文武両道のスーパースター候補にスカウト陣からは、「見ていてワクワクする」と熱い視線が注がれる。
「“根尾は金本監督の恋人”と言われるほど熱心な阪神や、地元出身ということで中日など複数球団がマークしています」(前出・デスク)
ミレニアル世代の“ネオ(=新しい)”怪物に注目だ。