大阪府立懐風館高校の3年生の女子生徒が、生まれつき茶色い頭髪を黒く染めるよう学校から強要され、精神的苦痛を受けたとして、大阪府を相手取り約220万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしました。学校側は指導の理由を「茶髪の生徒がいると学校の評判が下がるから」と説明したといいます。

 一方で、東大合格者ランキングトップ30のエリート校の中には私服通学OKの高校が、思いのほか多いのです。いかにして学校は生徒に対し「信頼」をおくことができるか。今、教育現場の矜持が試されているのではないでしょうか。

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私服通学できる高校には進学校が多い

 生まれながらの茶髪を黒髪に染め直させる。どう考えても理不尽だが、学校の言い分は、「校則で黒髪と決められているから」だった。そこまでして校則を強いる指導とは、およそ対極的な学校がある。

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 JR中央線国立駅を降りて10分ほど歩くと、通りをはさんで都立国立高校、私立桐朋高校がある。登下校時になると通りは高校生であふれる。地元の人からすれば見慣れた光景だが、初めてこの街を訪れる者には、不思議な光景に映ることがあるようだ。

 国立、桐朋いずれの生徒も制服を着ていない。色とりどりの私服を着ている。両校とも私服通学が認められているからだ。茶髪も見られる。

 私服で通学できる高校は全国的にはそれほど多くはない。しかし、地域によってはありふれた光景ではあり、公立は北海道、長野、東京、三重の進学校に、私立では歴史の古い伝統校で見られる。

 そして、注目すべきは、私服通学できる高校には進学校が多いことだ。

 2017年の東大合格者数上位5校のなかで3校、上位30校のうち3分の1が私服で通える高校である。