芥川賞を受賞した『火花』から10年余。6年ぶりに長編小説『生きとるわ』を出された又吉直樹さんがご登場です。幼い頃から想像力をよく働かせ、人一倍「恥」に敏感。そんな又吉さんの小説家としての創作の源泉に迫ります。
(またよしなおき 1980年大阪府寝屋川市生まれ。吉本興業所属のお笑い芸人、作家。2003年お笑いコンビ「ピース」結成、ボケ担当。15年『火花』で芥川賞受賞。同作は累計発行部数350万部以上のベストセラーとなる。主な著作に『劇場』『人間』『生きとるわ』など。)
最近、東京にだんだん慣れてきた
阿川 『火花』から始まって、今回の新刊『生きとるわ』で長編は4冊目だとか。お笑いの仕事もあるでしょうし、執筆のペースに変化はありますか?
又吉 コロナ禍以降は書く仕事にグッとシフトしていたので、この本を出したタイミングで久しぶりに番組に呼んでもらって行ってきました。
阿川 久々の出演はいかがでした?
又吉 めっちゃ楽しかったですね。「(元々)こっちやってんけどな」と思いながらやってましたけど(笑)。
阿川 今作の舞台は大阪。会話だけでなく地の文も大阪弁だったり、登場人物もみんな大阪人というのは初めての挑戦だったんですって?
又吉 そうですね。自分が18歳で上京したのもあって、上京してきた人間の不安定さや異物感をこれまで書き続けてきたんです。僕自身、東京に憧れはあって好きなんですけど、はじかれてる意識がすごく強かったんですよね。でも最近、東京にだんだん慣れてきたのもあって。
阿川 最近って、今いくつ?
又吉 今、45歳です。
阿川 ずいぶん時間がかかったのね。
すごく大阪が好きになって
又吉 ええ。ようやく東京が自分の居場所みたいな感覚になってきたんですけど、かといって大阪に地元意識があったかというと実はなかったなとも思ってまして。なんなら大阪もちょっと苦手というか……。
阿川 そうなんですか?(笑)
又吉 大阪の人たちは好きやけど、「俺たちは面白い」みたいな集団的自意識が中高生の頃からなんか嫌やったんですよね。そういう話題になると、急に「笑いの街・大阪」を背負うみんなが怖かった。
阿川 ほほう。
又吉 でも30代後半になり、帰省する回数も増え、大阪の皆さんが持ってるその自意識がサービス精神から来てるものなんだと分かってきたんです。力を誇示しているのではなく、こっちを楽しませようとしてくれてたんだ、と。それを理解してからはすごく大阪が好きになって。それで、大阪を舞台に書いてみたいなと思ったんです。
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