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今のヤクルトには「2位通過」の実力がある!

――さて、いよいよCS進出も現実的になってきました。8月28~30日までは甲子園で阪神に3連勝したにもかかわらず、8月31日~9月2日は神宮で広島に3タテを食らいました。この時期の連勝、連敗は順位争いに大きく影響します。

真中 広島戦の3連敗は、カープの勢いに完全に呑まれた感じだよね。でも、この時期の2位は十分、健闘しているよね。CSはぜひとも2位通過してほしいよね。

――今年はマツダスタジアムで苦戦が続いていますが、CSファイナルステージに進出するとマツダでの広島戦が大きなポイントになります。真中さんが監督時代、この球場での試合というのは、やはりやりづらかったのですか?

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真中 うーん、確かに真っ赤に染まった大歓声という、あの球場独特の雰囲気はあるけど、試合が始まったら、あんまり関係ないと思うけどな。僕らの現役時代でもそうだったけど、甲子園球場の大歓声に動揺したり、やりづらかったりというのはなかったけどね。ただ、「何となく、その球場では勝てていないな」という感じ。選手はあまり、そういうことを意識してほしくないな。

――マスコミではよく、「鬼門」というフレーズを使いがちだけど、選手たちは、それほど意識していないということですか?

真中 そうだね。だって、野球というスポーツは、そもそも後攻が有利なスポーツだから。投手の継投にしても、たとえ同点の場面でも、ホームゲームであれば勝ちパターンの継投ができるけど、ビジターゲームであれば投手のランクを落としながら継投しなければならないし。

――今後、カープ対策、マツダスタジアム対策をするとすれば、どんなことが考えられますか?

真中 正直言えば、明確な対策はないな(笑)。でも、大切なのは「あまり意識しないこと」「何とかしなきゃと焦らないこと」、これは絶対に大事だと思いますね。むしろ、CSが始まったらカープとスワローズとでは、プレッシャーの度合いも全然違うと思うんですよ。あれだけダントツでペナントレースを勝ち抜いたカープ。一方では、去年の悔しさを胸に、ここまで勝ち上がってきたスワローズ。プレッシャーの大きさは全然違うから。去年のCSでも、カープとベイスターズが、まさにそんな感じだったでしょう。

――去年は3位のベイスターズがCSを突破して、日本シリーズに進出しましたからね。じゃあ、「どうしても勝たなければいけないカープ」と「無欲のスワローズ」という構図を逆手に取るというイメージですね。他力本願かもしれないけど(笑)。

真中 追われる者と追う者の立場は全然違うものだからね。これだけダントツで勝っているわけだし、去年のこともあるから、カープにはカープのプレッシャーが大きいはず。カープの優勝が決まるまで、首脳陣は表立って、「2位狙いで行きます」とは言えないかもしれないけど、これからはジャイアンツに照準を定めるのも大事だと思うな。だから、今日からのジャイアン三連戦は、何としても勝ち越したいところだよね。

「これからはジャイアンツに照準を定めるのも大事」と語る真中満氏 ©長谷川晶一

――改めて、CS突破3チームを予想しつつ、ヤクルトへのエール、ファンを元気づけるメッセージをお願いします。

真中 うーん、CSに進出するのは1位カープ、2位スワローズ、3位ジャイアンツと予想します。ジャイアンツも一時期の勢いは感じないからな。ヤクルトには2位の力は備わっていますよ。順当な順位だと思います。投手事情が苦しいのはもちろんあるんだけど、ペナントレースも終盤になってくると、モチベーションも上がるし、終わりも見えている分、「あと何試合だ」ってラストスパートもできるからね。

――2015年のセ・リーグ制覇のときも、そんな感じでしたからね。

真中 あのときは、途中で首位に立ってからは確かにプレッシャーはあったけど、それでも、CSに向けて、どんどん勢いがついてきたからね。客観的に見ても、今のヤクルトには2位の力は十分にあると思います。これからの試合はすべてが大切。投手が必死に踏ん張って試合を作って、強力打線がきちんと援護する。CS進出はもちろん、CS突破、日本シリーズ進出、そして日本一。まだまだ熱い気持ちで応援していきましょう!

構成/長谷川晶一

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