35年以上にわたってボクシングマンガ『はじめの一歩』を描き続けている森川ジョージさん(60)。デビューから3作連続で打ち切りを経験しながらも、1989年に『はじめの一歩』の連載を開始すると、初回から読者アンケートで1位を獲得し、連載2年目には年収が1億円を超えた。

 成功を収めた森川さんだが、1巻の発売時にはヒットと裏腹に「夢がない」と感じていたという。1月に実施したインタビューから、当時のエピソードをお届けする。

©石川啓次/文藝春秋

「これだけ1位を取ってもこんなもんなんだ」

『はじめの一歩』の単行本1巻が発売されたのは、連載開始からおよそ4カ月後の1990年2月のこと。第1話の読者アンケート結果は人気1位で、その後に浮き沈みがありつつも50週、60週と連続で1位を獲得していった結果、初版は約16万部となった。

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 印税にすると数百万円を手にしたことになる。連載当初、借金をしてアシスタントを雇った森川さんにとって大きな金額のはずだが、素直に喜べなかった。

「これだけ1位を取ってもこんなもんなんだ、夢がないじゃんって思っていました」

 その理由は、ライバル誌との圧倒的な差にあった。当時、ライバルである週刊少年ジャンプの人気作品は単行本が100万部単位で発行されており、1冊当たりの収入が1桁変わる。週刊少年マガジンで50週以上連続して読者アンケート1位を獲得してもなお、ジャンプとの間には越えがたい壁が存在していたのだ。

 とはいえ、1巻は即日完売を果たし、すぐに重版がかかった。発売からわずか4カ月後の6月には36刷りに達するという異例の売れ行きを記録する。連載2年目には年収が1億円を超えた。

 森川さんは「その頃って、本屋に平積みっていう習慣がまだあまりなかったんです。でも、一歩の実績から平積みにしたら売れるんだとわかって、そこからですね、販売部の考え方が変わったのは」と明かし、以降の人気マンガは初版部数がどんどんと増えていったと笑いながら話す。

1巻は即日完売、そこからあれよあれよと重版が続いた ©石川啓次/文藝春秋

年収は一気に「1億円」に……大金を手にし、生活はどう変化?

『はじめの一歩』連載前は、1個のコンビニおにぎりを3つに分け、朝昼晩に少しずつ食べる生活を送って「1日の食費は80円だった」という森川さんの生活は、作品のヒットと大金を手にしたのち、どう変わったのか。長期連載を続ける苦労や最終回の構想など、インタビュー全文は下記の記事からお読みいただけます。

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