「やる気を出すほど待遇が悪くなる」大学時代に気づいた教育現場の現実

――それは由々しき事態だと思いますが、原因はなんだと思いますか。

由女 能力や労力に見合った給与体系になっていないことが一番ですね。教師の世界は年功序列ですし、残業代も出ない。子どものためにむちゃくちゃ頑張っても給与には絶対反映されないし、土日の休みもない。つまり、仕組み的に、やる気を出すほど待遇が悪くなるんですよ。

 でも学芸大は親切で、学部1、2年の時に「何%の人がうつ病になって、何%の人が退職して、何%の人が過労死ラインを超えて残業してます」と、教職の現実を丁寧に教えてくれるわけです。

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――そうなると、構造自体を変えたい人も出てきそうですね。

由女 それは実際考えましたね。文科省に行くしかないのかなと思ったけど、結局仕組みを変えるには政治家にならないと意味ないじゃないですか。すると、「何で学芸大出て政治家になるんだ?」みたいになって、ああ、じゃあ、どうしようもねえわって。

 なので、優秀な人たちは学校の先生にはならないし、意識の低い人はほんとに低いので民間企業にも受からず、人手不足の教育現場に行ってしまうという。

 とはいえ、同期で心がどこまでも清らかな子は学校の先生になりましたけど、そういう人は一握りな気がしますね。

「ロボットで日本画が描けるようにしたい」東大の大学院に進んだきっかけ

――学芸大と東大の研究生の二足のわらじを経て、東大の大学院に進もうと思ったきっかけは?

由女 学校の先生にならないんだったら民間に就職するかと思ってたんですけど、東大の研究生の時はコロナの時期だったこともあり、思っていたほど日本画の活動ができなかったんですね。

 その時ロボット教室でバイトしてたのもあって、研究生の時にロボットで日本画が描けるようにしたいと思ってたんです。

――ロボットに日本画を描かせる発想はどこから思いついたんですか。

由女 ロボット教室で働いていて、日本画を描いてたから(笑)。

――そのハイブリッドで日本画ができるんじゃないかと。

由女 というのもあるし、日本画って細密画がもてはやされる世界線なんですけど、細密画って人間がやることじゃないくらいしんどいんですよ。

東京タワーを描く由女さん(由女さんのInstagramより)

――由女さんが描かれていた東京タワーの画も緻密ですごいですよね。

由女 ものすごく手がかかるから、いつも泣きながら描いてて。

 草とか森とかを描く人が多いんですけど、とにかく大変なんでロボットに描かせたい気持ちがあり、それを東大で面白がってくれたこともあって、研究生として入ることができたんです。