カミンスカス操は「冤罪」を主張するが…

 ゴルフ謀議については、前の年の手紙でもこう書いていた。

〈この(ゴルフの)前までは土井は「羽毛田と連絡がつかない」と言っていました。しかし私はこの日に、土井が私を騙していると思いました。私は何十回も「羽毛田と連絡を取ってくれ」と言っていましたが、土井はこの日に「羽毛田はもうつかまらないよ」と私に言ってきました〉(2024年11月5日付書簡)

 カミンスカス自身はあくまで逃匿謀議に加わっておらず、〈地面師グループからは1円も受け取っていない〉(2025年4月7日付書簡)と強調する。有明のマンションに5億円を運び込んだ件も否定する。しかし、とどのつまり異父弟との取引やなりすましの逃匿は、地面師たちが詐欺をもみ消そうとした隠蔽工作にほかならない。最初から羽毛田をなりすまし犯だと知っていたかどうかは別として、カミンスカス本人もそこに加担していたのである。一連の手紙を通じ、当人は冤罪を訴える。だが、それは土台無理な話だ。

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 不動産ブローカーによれば、なりすまし犯の逃匿が失敗に終わったのは、逃走資金を誰が出すかで揉めたからだという。事件の隠蔽工作が失敗に終わり、羽毛田と常世田が逮捕されると、地面師たちは2018年10月以降、次々と後ろに手がまわっていった。その渦中、フィリピンに高跳びしたカミンスカス操自身もまた、翌19年1月に日本に送還され、逮捕される。

写真はイメージ ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

 たしかに本人は積水ハウスの地面師詐欺における主犯ではないかもしれない。だが、紛れもなく中心的な役割を担ってきた。史上最大の地面師詐欺事件には、捜査当局が見落としてきた事実が少なくない。

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