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広島カープが地元で優勝を迎えると、こんなにメリットがある

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/09/18
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 カープ優勝。3連覇の瞬間が近い。マジックも4である。

 カープがゲームのない19日、神宮のヤクルト×阪神戦の結果で優勝が決まる可能性もあったが、先だっての6連敗によりギリギリそこの可能性はなくなった。最短で21日である。で、その21日というのは20日から28日まで続くマツダスタジアム9連戦ゾーンの2日目。なんということであろう。確率的に100%ではないだけで、間違いなくこれで地元広島で、真っ赤に染まっていても嫌味でもなければ違和感もないホームグラウンドで、3連覇の胴上げが実現である。なんという盤石のスケジューリングであろう。まさに、この日程こそが今年は神ってると言えるだろう。

地元優勝でない場合の負担について考えてみた

 地元優勝でない場合というのは相手チームのホームグラウンドであり、いわばよその家である。誕生日のお祝いだったらよその家でしてもらっても逆にうれしいが、これが学校のテストの点数がよかったとか、会社で昇進した、とかのお祝いだと実に気まずい。これでその家の誰かが同じ会社、同じ職場とかだったら、そしてこちらは昇進しているのにそちらは降格とかだったらそのお祝いは実に気まずい。

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 去年まで。2年連続でカープはそれをしたのである。その気まずさが、嬉しい嬉しい優勝ではあるが、気になるといえば気になるその部分が、精神的な負担となり、そこで誕生した負荷の結果が日本シリーズ、あるいはCSファイナルステージに影響したのではないだろうか。

 いや、精神的な部分だけではない。肉体的にも旅先での優勝はこたえるはずだ。

 カープの場合、ホーム以外のゲームは基本、遠征である。旅先である。旅先の優勝となるとお祝いの食事会、あるいはそれぞれの旅先にいる関係者との飲み会とかがあった場合、もう一軒もう一軒とはめをはずす確率が高まる。また、旅先で呑む酒は酔いも早く、土地勘のない地区で呑んでしまったら帰り道が不安である。

長電話による腕のダメージも心配だ

 また、家族や友人が広島にいる選手も当然多いため、その家族と喜びをわかちあうためには電話ということになる。長電話になる場合もあるだろう。今日ではスマホに限らずスピーカーモードにすれば電話を耳にあてなくても話すことはできるが、周囲に人がいたり、まわりが騒がしかったりするときはやはり電話を耳にもっていかなければならない。読者諸兄も経験があるのではないか。長時間電話を耳にあてて話した後、腕の筋肉がいやな疲れ方をすることがある。いやな筋肉痛、というか、筋の疲労というか、かなりのダメージになる。いかにプロ野球選手の筋力が鍛えられてるとはいえ、電話を耳にあてるための筋肉部分は鍛えていない可能性はある。その筋肉の疲労が日本シリーズ、CSファイナルのときになって、かすかな、かすかではあるがたしかな、たしかなダメージとして表出したと言えないことはない。言えないかもしれないがゼロではないのではないか。

 ま、スピーカーモードならば解決したようにも思えるが、スピーカーモードは案外聞き取りにくいし、話す側もきちんと話さないとマイクが拾いにくい気がして神経を消耗する。それはイヤホンマイクの場合も同様である。

ホームゲームでの胴上げが確実視されているカープ ©時事通信社

 で、さきほどの、もう一軒もう一軒問題。もっとわかりやすく書けば、家族が広島にいる選手の場合。小さなお子さんがいる選手とかの場合、子供が家で待っている場合、どうしても帰宅時間は早くなる。この帰宅時間が早まることになり、そのあとに待ち受けるCSファイナル、日本シリーズに向けて体力温存が可能となる。

「いや、家族は明日でいい、今夜は飲もう!」

 みたいな展開になりかけたとしても、地元優勝の場合、とくにカープの場合は周囲の目が光っている。光っている目の中には、安仁屋宗八さんや山崎隆造さんの目もあるだろう。

「もう帰ったほうがいいんじゃないか」

 という山崎隆造さんの声に、

「そういうことです」

 安仁屋宗八さんのやさしい声。ないとは言えない。

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