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「エグい数字を残したい」今季の西武・浅村栄斗は何が変わったのか

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/09/21
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「自分の姿がチームの姿だと思っている」

 また、9月12日vsオリックス戦を、腰の張りのため今季初めてベンチスタートになると、打線は沈黙し、チームは零敗。だが、次の14日vs楽天戦でスタメン復帰すると、初回から見事な先制打で勝利を呼び込んだ。チームの雰囲気、流れをガラリと変えてしまうその存在感に、辻発彦監督も「浅村がいるのと、いないのとでは、雲泥の差だ」と、最大の賛辞を惜しまない。

 もともと、試合に出続け始めた20代前半の頃から、「若い僕らが引っ張らないと」と、チーム牽引の思いは強かった。そこに、レギュラー定着、昨季からはキャプテンというポジションを任されたことによって、責任感は格段と上昇した。

指揮官からも絶大なる信頼を寄せられている浅村栄斗 ©文藝春秋

 2009年に入団したため、08年の優勝を経験してない。だが、当時の中心メンバーだった中島宏之選手(現オリックス)を最高の手本とし、そのうしろ姿から、強いチームの看板選手としてのあるべき姿など、多くのことを感じ、学びとってきた。「痛い中でも試合に出るなど、レギュラーは、多少無理をしなければいけないという責任もあるなと、中島さんの姿を見て教えられました」。長いシーズンの中では、決して万全の状態ではない日も当然あったが、それでも、グラウンドに立ち続けてきた。スタメンを外れた12日も、本人は出場を願い出た。だが、「無理して、もっと悪くなるのが一番ダメなので」と、先を見据え、ベンチスタートを受け入れた。全ては、チームのため。優勝のため。主力としての自覚は並大抵ではないのである。

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「自分の姿がチームの姿だと思っている」

 と、浅村選手は覚悟を決めてきた。その言葉通り、キャリア最高のシーズンを送る28歳キャプテンの姿のごとく、チームも史上最強打線で首位を突き進んでいる。「何が何でも優勝したい」。渇望し続けてきた悲願達成へのカウントダウンが、いよいよ始まった。まだ見ぬ境地に辿り着くために、背番号『3』はさらなる“エグい数字”を追求していく。

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