2022年8月、広島県立中学校に通う中学2年生の男子生徒タカシくん(仮名・当時14歳)が、始業式の当日に列車にはねられ死亡した。警察は現場の状況から自殺と判断。のちに県が設置した第三者調査委員会の調査で判明したのは、自殺の背景要因に影響したと思われる2人の男性教員の威圧的な指導の数々だった。
「課題の提出やノートの取り方について怒鳴る」「2人の男性教員による執拗な追い込み」――。タカシくんが受けた「指導」の凄惨な実態と、遺品のノートに残されていた最期の心の揺れについて両親が取材に応じた。
広島の県立中学校の始業式の朝、2年生のタカシくんは母親に起こされて午前6時ごろに起床した。
「タカシは前日の夜は家族と一緒に談笑していて、朝も私が起こしに行くとすんなり起きてくれました。始業式の日が締め切りだった課題について『できた?』と聞くと、息子は頷き、親指を立てるサムズアップをしてみせました」(母親)
母親が「頑張ったね。提出して帰宅したら、来週締め切りの美術の宿題を仕上げようね」と返すと、タカシくんはもう一度親指を立てて応えたという。
「友達と約束している」と言って学校の1つ前の駅で降り…
目玉焼きにソーセージ、パン、サラダ、果物という普段通りの朝食を食べ、タカシくんはいつものようにパンを残していた。午前7時10分ごろ、「行ってきます」と告げて自宅を出た。タカシくんは父親の運転する車に乗り込んだ。
「いつもは学校の最寄り駅まで送りますが、その日は『友達と約束している』と言うので1つ手前の駅で降ろしました。車内では特に会話もなく、いつも通り静かでした。タカシは降りる時に『行ってきます』と言ったので、『気をつけてね』と声をかけました。駅の方に向かう様子をバックミラーで見ながら、駅で友達と合流するのかな、と思っていました」(父親)
それが、父親が目にした息子の最後の姿となった。
