2022年8月、広島県立中学校に通う中学2年生の男子生徒タカシくん(仮名・当時14歳)が、始業式の当日に列車にはねられ死亡した。警察は現場の状況から自殺と判断。のちに県が設置した第三者調査委員会の調査で判明したのは、自殺の背景要因に影響したと思われる2人の男性教員の威圧的な指導の数々だった。
担任で英語教師のAは、入学直後の4月から“激しい”指導を行っていた。ノートのまとめ方が指示通りでないと部活動中のタカシくんのもとへ怒鳴り込み、教室へ連行してやり直しをさせるなど、学校でも恐れられていた。
10月にタカシくんはコロナワクチンの副反応で40度近い熱を出し、学校を休み、数学の課題提出が遅れたことがあった。
熱も下がり登校を再開した日にタカシくんが提出用のノートを持っていくと、数学担当のB教諭は「コロナワクチンの副反応か何か知らんけど、ちゃんと期限の日に出すように」と突き放した。どうにか提出したが、翌日には「ノートを受け取っていない」と言い出した。
「タカシと一緒に家の中を探しましたが、どこにもありません。しかたなく私が担任のA先生と数学のB先生に『教室のどこかに落ちていないか探してください』と手紙を書きました。すると翌日タカシは職員室に呼び出され、2人の先生から『なんじゃこれは!』と怒鳴られたんです。B先生には『受け取ってないものはない。もし出てきたら謝ってやるよ』と言われたようで、帰宅した息子は私たちの前で泣いていました」(母親)
タカシくんはあらためて数学の課題を提出しようとしたが、B教諭に受け取りを拒否されてしまった。
「タカシの課題が滞っていたのは6月頃からだったようで、『怒鳴られると思うと出せないんだ』と話してくれたことがあります。中学に入ったばかりの子供に『誠意を持って完璧にやれ』と迫り、不備が見つかると怒鳴る。また怒鳴られるのではという恐怖でもっと課題が提出できなくなる、という負のループに陥っていたんです」(母親)
「とにかく出してくれ」と言われたのに「今さら受け取る義理はない」と再び拒否
担任のA教諭に電話で「遅れた課題はどうすればいいか」と相談すると、「とにかく出してくれ」という返答だったため、学校としては受け取る気があると母親は判断。しかしそれを伝えると、タカシくんは泣きながら「お母さんに対して言う時と、僕に対して言う時で、先生の話が違う」と訴えた。
それでもタカシくんはなんとか数学の課題を終わらせて提出するために職員室へ向かったが、職員室にいた数学のB教諭が、「今さら受け取る義理はない」と受け取りを拒否した。
話が違うと感じた父親は学校に電話し、教頭に「担任のA先生と数学のB先生に厳しく言われてタカシが怯えている。課題を出すことへの恐怖感がある。立ちくらみなどの症状も出ていて、このままでは不登校になってしまうのではないかと心配している」と伝えた。
