「離したくはない」「Bye For Now」「マリア」「じれったい愛」――数多くの大ヒット曲をリリースし、1990年代を代表するロックバンド「T-BOLAN」。2025年9月から“ラストライブツアー”と銘打ち全国公演を続け、バンドとして初の武道館公演を8月10日に開催、それが最後のライブとなると発表した際には話題となった。

 メンバーのうち、ベースを担当する上野博文さん(61)は、2015年にくも膜下出血で数カ月の意識不明状態を経験。さらに2025年には「ステージ4の肺がん」を公表し、ドクターストップもあったというが、それを押し切って精力的に全国をまわっている。

 数カ月にわたり首や背中の痛みに悩んでいたという「がん発覚」までの経緯や、闘病生活、そして医師からストップをかけられながらも全国をまわり続ける心境を聞いた。

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2025年にステージ4のがんを公表した、T-BOLANの上野博文さん ©志水隆/文藝春秋

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数カ月の昏睡→九死に一生を得た後、今度は「ステージ4の肺がん」が発覚

――2015年に、くも膜下出血で倒れられました。数カ月の意識不明状態を乗り越えて音楽活動にも復帰されていましたが、2025年にはがんを公表されています。それもステージ4と、かなり進行した状態でした。

上野博文さん(以下、上野) がんが見つかったきっかけをたどると、最初は2025年1月に、インフルエンザにかかったことです。そこから熱は下がったのに、咳がなかなか収まらなくて。2月になっても良くならなかったので、病院や薬を変えました。それでも良くならなかった。

 3月に行った病院では「咳喘息」と診断されました。ところが、4月に入ると腰も痛くなってきて、だんだん、夜に寝られないほどになったんです。横になれないほど痛かったですね。

――最初は、ご自身も医療機関も、がんだと思わなかったんですね。

上野 そうなんです。整形外科の先生に診てもらったら、腰の痛みは「圧迫骨折」って診断されました。「上から7番目の背骨がつぶれている」と。

「それにしても、なんでこんなに治らないのだろう」って不思議に感じながらも、T-BOLANで韓国公演に行ったりもして。この時は、先生から「ベースが重たいので頑張りすぎないように」って言われ、コルセットを付けたり、痛み止めを飲んで湿布を貼ったりして何とかなりました。

 ところが帰国後に歩くのもつらいほど痛くなって、あらためてCTやMRI検査を受けたら先生が大慌てになって……。