食事制限でも副作用でもなく……闘病生活の中で「つらかったこと」は?

――そこから治療も始まって。

上野 治療は、切開の前から先行して「いったんは転移がある箇所の処置をしていこう」となって、放射線治療をやっていました。首のがん細胞に放射線を当てて、その次は脳にも。全部で10カ所です。痛みは強かったけれど、幸い副作用はまったくなかった。

――服薬治療もされたそうですが、そちらも副作用は大丈夫でしたか?

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上野 服薬は、手術で肺がんだと分かってからですね。なるべく副作用が少ない薬を処方してもらいましたが、皮膚に影響が出たり、全身がむくんだりはしました。

 最初はテスト期間として2週間ほど入院して服薬を続けて、看護師さんが1時間おきに副作用をチェックしてくれるんです。それが一番しんどかった。寝ていても、トントンって叩かれて「気分はどうですか?」って聞かれるんです。寝る暇もなくて疲れましたよ。でも薬がよく効いて、結果的に1週間で退院できました。その後はずっと、家で生活しています。

薬の効果が予想以上で、小康状態を保っている ©志水隆/文藝春秋

――その後の体調はいかがですか。

上野 小康状態で、首の痛みもだいぶなくなりました。生活上の制限も、特にないです。食事制限もない。普通は甘いものは控えてくださいとか言われると思うんですが、「好きなものはなんでも食べてください」って言われています。唯一何かあるとすれば、くも膜下出血のこともあるので、塩分を控えめにするくらいかな。

――治療方針としては、ここから寛解に向けて地道に治療していく形ですか。

上野 医師からは「寛解は、基本的にありません」って言われています。肺がんは5年生存率が低いがんなんです。でも、多くの患者さんは頑張っているし、僕も前向きになれる。

 薬も、先生から「あまり効かないかも」と説明を受けていたんです。凄くショックでした。僕のがんは、少数派に属する症例みたいで。でも実際に治療を始めたら、右肺にあった5センチの腫瘍が今は2センチくらい。小脳にも2センチくらいの大きな腫瘍があったけれど、それも5ミリくらいに小さくなりました。リンパ節も通常の大きさに戻っているのでこの状態を維持していきたいですね。