「大変、申し訳ないのですが……」

――どんな検査結果だったんですか?

上野 先生が大慌てで「大変です。大きな腫瘍ができています」って言うんですよ。慌てて撮影した写真をスクロールしまくって何が何だかわからないほど、先生の方が焦っていました。

 右の肺に大きな腫瘍があって、すぐにがん研究会有明病院を紹介されて。その時に、初めて「ああ、腫瘍で、しかもがんなんだ」って自分の状況を理解しました。翌朝にがん研に行ったものの、首だけじゃなくてもう全身の痛みがすごくて。

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患部を撮影すると医師は大慌てになって、がん研を紹介された ©志水隆/文藝春秋

――がん研ではどんな診断が?

上野 まず、右肺に5センチ大の腫瘍があると。検査を進めていくと、脳に転移しているのがわかりました。あとは右肺のリンパ節にも3カ所、首、骨、両副腎にも転移していて、病院の診断では「ステージ4」。

 すぐにでも治療をしたかったですけど、脂肪の可能性も残っていましたし、治療方針を決めるためには肺に内視鏡を入れて細胞を採る検査が必要で。ちょっとでも動くと内視鏡で肺に穴が開いちゃうから、40分くらいベッドに横になる必要がある検査です。でも、立っていても、横になっても痛い。結局、検査はできずにどんどんとずれ込んでいってしまいました。

 がん研に行ったのが7月の頭で、月末になってもまっすぐ寝ていられないくらいに痛かったけど我慢して、何とか内視鏡検査はできたんです。そしたらその直後に「大変、申し訳ないのですが……」と言われて何かと思ったら、採取したところにがんの細胞がなかったらしくて。

――せっかく痛みを耐えたのに……。

上野 で、今度は内視鏡ではなく手術をさせてくださいと。具体的には、首からL字に切開をして、検査をするんだと言われました。最初は「ええっ」って思ったんですけど、先生に「人前でベースを弾くのであまり大きな傷は……」って言ったら、最終的に3センチくらいの傷で済んだから、良かった(笑)。