芦沢雅治さんが創業した「よりそう株式会社」は、葬儀業界のスタートアップとして知られ、明朗会計の葬儀仲介サービスなどを提供している。革新的なビジネスモデルで急成長を遂げた同社だが、芦沢さんは、これまでに組織崩壊を繰り返し経験したという。今注目の経営者が、「わが人生最大の失敗」を語る。
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2009年、23歳で「みんれび」を起業し、インターネット上で様々な分野の商品やサービスの評価を書き込めるウェブサイト「みんなのレビュー」を始めました。そのなかで発見したのが葬儀に対するニーズでした。家族を看取ったけれどもお寺さんとの付き合いはないし、お葬式に集まる人もそれほどいない。葬儀会社に頼めば、一切合切を取り仕切ってはくれるものの、100万円以上かかるのはどうも納得がいかない。そのようなニーズに応えるために2013年にお客様と葬儀会社のお互いのニーズをうまくマッチングする仕組みを作ることで十数万円から50万円ぐらいの価格帯で葬儀を出せるサービスを始めました。それが現在も社業の核になっています。
最初の挫折はそれから3年後の2016年に起こりました。会社が順調に成長するなか、創業期からともに歩んできた中心メンバーが、次々と会社を去っていったのです。原因は、事業の成長を急ぎすぎたあまり、社内での合意形成をおろそかにしたことです。私はとにかくスピードを優先し、決めたことに黙ってついてくればいい、という頭ごなしの姿勢で組織を引っ張っていました。十分なコミュニケーションを取ることを怠っていたのです。
葬儀仲介事業は急成長し、2014年から3年の間で、従業員数は約20人から約90人に、取扱件数も3.1倍に伸びました。私も含めて創業メンバーの多くは、社会人経験をほとんど積まないまま起業に参加していました。急速に拡大した組織をマネージメントする能力の限界を、それぞれが感じはじめていたのです。そのことについて相談を受けてはいたものの、私は起業の志を忘れ、身近にいるメンバーの悩みによりそえず、聞き流していました。今にして思えば、予兆はあったのですが、ある日突然、限界を迎えたメンバーから「しばらく休みたい」という言葉が届きました。それが最後の言葉でした。
派閥が原因で大量辞職
この大きな挫折を糧とすることができないまま、同じあやまちを繰り返し、第二の挫折に直面します。
それが2018年の組織崩壊です。その発端は、組織内で派閥が生まれてしまったことです。その原因は経営理念の違いといった高尚なことではなく、単に人間の好き嫌いでした。そしてまたも私のコミュニケーション不足から、対立を解消することができず、結果として、能力よりも関係性を優先した人事が進められるのを止めることができなかった。それによって、当時100人ぐらいの会社だったにもかかわらず、要職にあった十数名が一挙に大量辞職するという事態に至ってしまいました。
この二つの大きな挫折を糧にできたのは結局、組織崩壊が起きた頃に経営陣にリクルート出身の篠﨑新悟を迎えてからのことになります。
※二度の組織崩壊を経験した芦沢さんが、失敗経験を糧に変えられた理由とは?この続きで語られています。約1700字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年5月号に掲載されています(芦沢雅治「二度も組織崩壊した」)。
出典元
【文藝春秋 目次】東京極秘対談 ティール×トッド 世界は終末を迎えているのか/池上彰×佐藤優 “暴れ獅子”トランプと“女豹”高市の生きるか死ぬか/官邸官僚の第二の人生
2026年5月号
2026年4月10日 発売
1300円(税込)
