——プールの時間はどうやってやり過ごしていたんですか?

Nimo 仮病で休んだり、中学からはラッシュガードを着ることもありました。でもラッシュガードをつけたらつけたで「それなんで着てるの?」ってめっちゃ聞かれるんです。

 しょうがないので「日焼けを気にして親が着ろって言うんだよね」と答えてたんですけど、そういうやりとりを繰り返してるうちに「どうしていつも嘘ついて誤魔化さなきゃいけないんだろう」ってモヤモヤした気持ちも湧き上がってきて。

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——着替えも大変そうです。

Nimo 教室で着替えるとからかわれるので、トイレで着替えることも多かったです。ただ個室トイレに入るのを見られるのも恥ずかしかったので、小さい手提げに体操服を突っ込んで、周りに見られてないかキョロキョロしながら個室に入って、出るときも人の気配がないか耳を澄ませてから出てました。

——かなり神経を使いそうです。

Nimo 女子がやってる「服をかぶりながら裸を見せずに着替える方法」もできるようになりましたよ。でもそうやってコソコソ着替えてると「お前何やってんだよ」ってまたイジられるんですよね。

——からかってくるのは男子ですか? 女子ですか?

Nimo 圧倒的に男子で、女の子で直接ダサいとか言ってくる子はいなかったですね。でも「男子にイジられてるかっこ悪い自分」を見られるのは恥ずかしかったし、「女の子も内心では胸のことを気持ち悪いと思ってるんじゃないか」って気になっちゃってました。

「男なのにおっぱいが大きくて恥ずかしい」と相談すること自体が難しかった

——誰かに相談はしたんでしょうか?

Nimo なかなかできなかったですね。実は父親も弟も女性化乳房症で完全に家系なんですけど、父親自身がそこまで気にしてない様子だったので僕が悩んでることを言えなくて。友達はイジってくるからもちろん相談する雰囲気じゃない。何より「男なのにおっぱいが大きくて恥ずかしい」って人に相談すること自体のハードルが子どもには高すぎました。

 でもイジりが続く中で耐えきれなくなって母親に話して、担任に「プールのときにおっぱい大きいって言われるのがつらい」って伝えてもらったんです。

 

——それでイジりはなくなったのでしょうか。

Nimo 6年生の時の担任が「人には変えられることと変えられないことがあるから、変えられないことで人をバカにするのはやめましょう」みたいな話をクラスでしてくれて、同級生からは言われなくなりました。

 ただそれで気にせずプールに入れるようには全然ならないんですよね。「男なのに胸が大きい」って思われてるのはわかってるし、周囲の視線を自分が必要以上に気にしちゃうようになってたんで。結局、それが進路にも影響しました。