いずれの症状も唾液減少が引き起こすのだという。
「唾液は単に口の中を潤わせているわけではありません。汚れを洗い流す、食べ物の味を唾液に溶かして味わい、飲み込みやすい形状にする、消化を助ける、酸を中和する、細菌の繁殖を抑える、粘膜を保護・修復する、歯の再石灰化を促すなど多くの作用を持つ“働き者”が唾液です。口腔内や唇に傷ができても、皮膚よりは治りが早いと思いませんか? これも唾液のおかげなのです」
では、なぜ更年期以降の女性がこんなにも、唾液減少によるドライマウスに苦しむのだろうか。
「まずは加齢の影響があります。唾液の9割以上は顔の内部、耳の前方や顎下にかけて位置する大唾液腺から分泌されています。この唾液腺は加齢によって衰えます。嚙む力(咀嚼筋)も弱くなり、噛む回数が減ると唾液腺への刺激も弱まって唾液の分泌量が減少するのです。もう1つ、女性の場合はホルモンバランスの変動が影響します」
ホルモン変動がどう影響するのか説明してもらおう。
「唾液腺には女性ホルモンであるエストロゲンの受容体があり、唾液の分泌機能に関与しています。さらにエストロゲンは粘膜を保護し、潤いを保つ機能もあります。閉経前後でエストロゲンが減少すると、これらの作用が弱まるので、ドライマウスの症状が生じます。男性には女性のような急激なホルモン変動がないため、症状が顕在化せず、50代以上の女性患者さんが多いのもこうした背景で説明がつきます」
このほか、ストレスによる自律神経の乱れ、精神安定剤や抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、降圧剤や利尿剤といった内服薬の副作用で唾液の減少や口の乾きを感じる場合があるという。
「唾液の分泌は自律神経がコントロールしており、ストレスで交感神経が優位になると唾液の分泌量が制限されてしまいます。医師から処方された内服薬は自己判断でやめずに、薬で症状をコントロールしながら、後述するセルフケアに取り組んでみてください。質のよい睡眠をはじめとした生活リズムを保つことは、ドライマウス対策としても重要です」
ドライマウスの要因と仕組みが分かったところで、対策に移っていこう。
《この続きでは、●よく嚙む&入浴で改善、効果的な舌ストレッチ…など対策法を詳しく取り上げている。記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および5月28日(木)発売の「週刊文春」で読むことができる》
