同記者は続ける。

「捜査第一課長による会見では、具体的な時期については明らかにされていませんが、彼の関係先への捜査が行われるようになったのは16年の夏頃からで、勤務先の本社に捜査員が赴いています。さらに、同年9月か10月頃には、矢野が住んでいた益田市にある一軒家が、異例ともいえる10日間以上の家宅捜索を受けたことが判明しており、この段階で容疑は固まっていたようです。同年10月には、その近くにあるガソリンスタンドに、捜査員が矢野の写真を持参して、給油記録の閲覧を求めていたことも確認されています」

遺体が遺棄された臥龍山(2010年5月、筆者撮影)

 つまり、16年12月の書類送検の5カ月近く前から、矢野の犯行への関与についての裏付け作業が始まり、同時に共犯者の有無についての捜査がなされていたのである。

ミクシィに残された被疑者のプロフィール

 1976年4月に山口県下関市で生まれた矢野は、自宅敷地内で祖父母が米穀店を営んでいたが、両親の代になってから、タバコ店やクリーニング店に商売を替え、弟を含めた4人で暮らしていた。近隣で彼は「おとなしい子だった」との印象を残している。

 矢野は地元の公立中学校を卒業後、福岡県北九州市にある私立高校の、理系特進コースに進学。その後、福岡県にある国立大学の情報工学部の夜間部に入学するが中退してしまう。

 大学時代にはバンド活動をやっており、担当はドラム。大学を中退した理由もバンド活動に打ち込むためだったようだ。彼が2009年4月から始めた会員制交流サイト「ミクシィ」では、自らのハンドルネームを「dr.よしゆき」としていた。ちなみに「dr.」は、ドラマーを意味していると思われる。

 この「ミクシィ」内で、矢野はビジュアル系のミュージシャンを想起させる、茶髪でロン毛姿のプロフィール写真を公開している。

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※本記事の全文(約4000文字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(小野一光「理系のバンドマンで、強制わいせつ事件の前科があった犯人 」)。

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