2004年3月23日に福岡地裁で開かれた、中国人の元専門学校生・魏巍(ウェイウェイ=逮捕時23)を被告人とした、「福岡一家4人殺人事件」での強盗殺人、死体遺棄罪などの初公判。検察側による冒頭陳述での〈犯行に至る経緯等〉の説明は続く。
共犯者となる王亮を紹介され、金欲しさに犯行に加わる
魏が通い始めた福岡市内のインターネットカフェ「A計画」で、店長のK(逮捕時25)から上記事件の共犯者で、元日本語学校生の王亮(ワン・リァン=逮捕時21)を紹介されたのは、同事件を起こす約4ヶ月前である、03年2月20日頃のことだった(以下、〈 〉内は同陳述より)。
〈4 被告人(魏巍)は、そのころ、福岡市中央区所在のコンピュータ関係学校に在籍していたが、遊興費などに金銭を浪費していたため、学費を納入できないほど困窮していたところ、同月下旬ころ、王亮あるいはKから、Kの元アルバイト先である飲食店の経営者方に侵入して金品を強奪する旨の犯行を持ち掛けられ、金欲しさにその犯行に加わることにした。
そのころ、被告人、K及び王亮の3名は、上記飲食店経営者方に強盗に押し入る仲間を探していたが、見つからなかったことから、計画を強盗から窃盗に変更し、同年3月3日ころ、同経営者方に侵入しようとしたが、窓ガラスを切ることができなかったことから、犯行を断念した。
王亮は、同月5日から同年4月10日まで一時帰国していたが、被告人は同月9日ころ、KやKSと共に、中国人留学生2人から金品を強奪するなどしていた〉
理由は後述するが、Kは「福岡一家4人殺人事件」が発生する前に、福岡市から逃走しており、同事件の後に不法残留容疑で指名手配を受けたことで、03年9月3日に大阪府警に出頭して逮捕された。また、Kの知人で元留学生のKS(逮捕時26=起訴時の職業は鮮魚店店員)は、同年9月13日に強盗致傷容疑で逮捕された(同日に、魏とKも同容疑で再逮捕)。この逮捕容疑こそが、魏の裁判の冒頭陳述に出てきた金品強奪事件のことである。

