2004年1月8日、福岡県警は前年に日本で逮捕していた、中国人の元専門学校生・魏巍(ウェイウェイ=逮捕時23歳)を、福岡市のA家一家4人についての強盗殺人、死体遺棄、住居侵入容疑で再逮捕した。

2019年に死刑が執行された魏巍

 これは、03年6月20日に発生した「福岡一家4人殺人事件」について、魏と、逃亡先の中国で身柄を拘束された元日本語学校生の王亮(21)、元私大生の楊寧(23)による、「金銭目的の強盗殺人事件」であると結論付けたとの意味を持つ。その後、1月30日に福岡地検が強盗殺人などの罪で魏を起訴したことで、同事件の捜査は事実上終結した。

王亮(左)、楊寧(右)

「似顔絵の男は王」との疑いから3人の逮捕へ

 捜査終結に至る流れは、以下の通りである。

ADVERTISEMENT

 発生から約1カ月後の03年7月22日に、福岡県警の捜査本部が、遺体の遺棄に使用されたのと同種の手錠と鉄アレイを購入した男の似顔絵を公開。集まった情報により、同月下旬に、似顔絵の男は王であるとの疑いを強め、容疑者不詳の殺人容疑などで、福岡市内にある王と楊の住むアパートを家宅捜索した。

警察手配イラスト

 同年8月6日、事件の前後に携帯電話で王や楊と頻繁に連絡を取り合っていた魏を、知人女性への傷害容疑で逮捕。

 8月19日に中国・遼寧省で王の身柄が、続いて27日に、同・北京市で楊の身柄が拘束される。中国の公安省はその事実を9月24日に初めて公表。その際には、A家一家殺害への関与について、拘束された2人が認めていることも明かされた。

中国の公安当局との協議

 9月28日には警察庁と福岡県警の捜査員などが中国・北京入りし、中国の公安当局との協議を行い、「処罰要請」を行う。

 11月25日になると、中国公安当局の捜査員が福岡を訪れ、同県警と協議を行ったうえで殺害現場と遺棄現場を視察。

 12月7日には、福岡県警の捜査員と福岡地検の検事が中国に渡り、王と楊への中国公安当局による聴取に初めて立ち会う。

 一方で、同月18日には、中国公安当局の捜査員がふたたび福岡にやって来て、魏への福岡県警の聴取に立ち会った。

 以上をもって、上記の結論が導き出されたのである。