「友人の中国人留学生から現金等を窃取していた」王と楊
罪状認否に続いて行われた検察側による冒頭陳述では、より詳しい犯行状況が示された。検察官はまず〈犯行に至る経緯等〉として、共犯者である王と楊について、次のように説明する。
〈1 本件の共犯者である王亮(当時21)は、中華人民共和国吉林省において生まれ、平成14年(02年)4月、日本に入国し、福岡市内の外国語学校に在籍したが、学校に行かず、同市東区内のアパートに居住し、無為徒食の生活を送っていた者であり、同じく共犯者の楊寧(当時23)は、中華人民共和国吉林省において生まれ、平成12年(00年)10月、日本に入国し、前記外国語学校を経て、同14年、福岡県内の大学国際商学部に入学し、上記アパートで王亮と同居していた。
2 王亮は、かねてから、方法のいかんを問わず、大金を稼いで帰国したいとの強い願望を抱いていたものであり、平成14年には、王亮及び楊寧の両名は、生活費欲しさに、友人の中国人留学生方から現金等を窃取することを繰り返し、同年12月には、楊寧のアルバイト先の飲食店から多額の現金が入った金庫を窃取するなどしていた。
3 被告人(魏巍)は、平成15年(03年)2月中旬ころ、福岡市内にあるインターネットカフェに出入りするようになったことから、同店経営者である中国人留学生K(※原文実名=当時25)と知り合い、同月20日ころ、同人の紹介で、王亮と知り合った〉
ここで出てきたインターネットカフェこそが、「A計画」である。03年2月中旬といえば、A家一家殺害のわずか4カ月前のこと。夢と希望を抱いて日本に留学したはずの魏が、短期間のうちに転落していく軌跡が、この冒頭陳述で次々と明かされていく。
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