今年の3月で12年所属したロコ・ソラーレを退団した吉田知那美(34)は、世界を転々とする時間が多かったが、結婚4年目にしてはじめて長野県の野沢温泉村で「夫・河野恭介氏の実家暮らし」を送っている。河野家の不思議なルール、そして別々に過ごす時間が長かったことの意外なメリットとは。(全3回の2回目)

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――結婚後も1年の大半は海外で別々に過ごす「多拠点婚」生活でしたが、物理的な距離が不安になることはないですか?

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吉田知那美(以下、吉田) 実は私、彼と付き合うまで電話がすっごく苦手だったんです。電話が鳴るだけで「何かあったのかな」と怖くなるタイプ。でも、彼がオーストリアの美しい山の景色をビデオ通話で見せてくれたり、「朝日が綺麗だよ」と中継してくれたり。あまりにも彼がマメに、日記のように一日の報告をくれるので、今ではすっかり電話嫌いが治りました。

1年の半分以上が遠征だった生活から、夫の実家での生活へ

――距離があるからこそのコミュニケーションですね。

吉田 ある時、気づいたんです。「パートナーも一つのチームなんだ」って。私はロコ・ソラーレというチームで10年以上過ごしてきました。チームでは、誰かがご飯を作ってくれたら「美味しい」、洗濯をしてくれたら「ありがとう」って当たり前に言いますよね。相手のパフォーマンスを最大化させるために声をかけ、心地よい環境を作る。そのテクニックをなぜか「パートナー」という関係になった瞬間にやらなくなるのはおかしいなって。

――夫婦関係をカーリングのチーム作りと同じように捉えたんですね。

吉田 そうなんです!「今日のサラダ、すごく美味しかった。ありがとう」とか「さっきの言葉、すごく嬉しかった」とか。そうやって一つ一つの行動にリアクションすることで、チームとしての強固な信頼関係が育っていく。離れていても、世界時計をインプットして「今、あっちの地域は朝だな」と把握し合い、テレビ電話を繋ぎながら一緒に朝ごはんを食べる。時差が重なれば「イェーイ!一緒だ!」って喜び合う。物理的なディスタンスは、私たちにとってディスアドバンテージではないんです。むしろ、お互いが自立した人間として、会える時間を最大限に楽しむためのスパイスになっています。

ミラノ・コルティナ冬季五輪にコーチとして参加した夫の河野恭介さんと 吉田さんインスタグラムより

――3月にロコ・ソラーレを退団されてからは一緒に生活されているんですか?

吉田 生活は本当にガラッと変わりましたね。これまでは9月から4月まで、1年の半分以上を遠征先のカナダで過ごしてましたけど、今年は次の遠征の1月までは国内です。今は夫の実家がある長野の野沢温泉村を拠点に生活してます。

――河野さんの実家暮らしということですか?