「今の東京は、『新自由主義』信奉者の植民地のようだ」。今年1月、建築家の山本理顕氏は日本外国特派員協会の講演で強く訴えた。同氏によれば、現在、東京の大規模再開発は「地域のコミュニティーを壊している」状態だという。
なかでも、その一端を担っていると隈研吾氏ら著名建築家たちを名指しして批判し大きな話題となった。ただ、高度経済成長から50年以上が経ち、全国で様々なインフラが老朽化を迎えて再開発の必要性が差し迫っているのも事実。日本の都市開発が抱える問題とは何か、今後どう解消していくべきか。名指しされた隈氏が山本氏の事務所を訪ね、本音を語り合った。
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山本 公共建築には国の視点が欠かせません。だから本来、国家官僚が果たすべき役割は大きい。
日本は江戸時代も大名の抱える普請奉行が築城の現場を指揮していたのです。実務を担う官僚の権力が極めて強かった。良い悪いは別としてその伝統は明治期から戦後日本の行政に引き継がれていきました。そういう意味で日本は極めて優秀な官僚機構に支えられてきた官僚国家と言っていい。
それが、小泉改革以降、官僚組織と政府を動かす政治権力との関係が逆転し、安倍内閣の時に顕著になりました。官僚組織がまるで下僕のようになってしまったのです。それと同時に、その官僚組織に対してアドバイスすべき専門家集団の力も削がれてしまった。日本学術会議でさえ、知的集団として官僚機構を指導する力を失ってしまった。今では独裁的な政治権力が自由自在に都市開発、住宅開発を経済的利益に結びつけて、その利益を運用している。それが金融商品化の本質的な意味なのだと思います。
隈 近年は金融商品化がエスカレートして、海外のお金持ちが間接的に日本の都市開発をコントロールしているようなことさえある。海外の超大企業が株主として関わり、その資金のもとに日本の都市が耕され、まるで海外に利益をもたらすために日本の大企業が働いているという危険すらあります。
日本は植民地状態?
山本 六本木ヒルズのような、富裕層でなければ購入できない居住区を構えた高層ビルがますます幅を利かせるのも、それが利益をあげる「金融商品」でないと海外から投資が集まらないからです。

