器用にまわりに合わせられなかったからこそ
──青木さんが演じた優という役については、どうとらえましたか。
青木 優は「海外から来たばかりの転校生」という設定なので、ひとりだけ制服も違うし、明らかに“異物”なんです。でも、しっかりとした芯をもっていることが、誰かの救いになることもある。だから、自分を見失わずに立っている人であることは大切にしました。
作品の中では優のバックボーンはそこまで細かく出てきません。でも、転校してくるまでどこに住んでいて、どういう暮らしをしてきた生徒なのかということがわからないと演じられないシーンがあったので、監督と話して、キャラクターの背景についてはかなり深掘りして挑みました。
──「演じられなかった」というのは、具体的にどのシーンですか?
青木 愛の家に入り込み、愛をおんぶして出て行くシーンです。優と愛は育った環境も考え方も違うので、軽々しく愛に共感などしてはいけないのではないかと監督と話し合い、少し演出を変えることになりました。
でも結局、撮影当日に「やっぱり元のままでいきましょう」と言われて、このシーンに対する監督の思い入れの強さを感じたので、「その通りにやります」と言って演じたんです。印象深いシーンになりました。
──本作には「集団と個」というテーマもあります。10歳から芸能界でお仕事をされている青木さんは、普通の子ども以上に「集団に合わせる」機会も多かったのではないでしょうか。
青木 たしかに子どもの頃から仕事で大人の中に入ってきたので、自然とまわりに合わせていたことは多かったと思います。ただ、振り返ると、オーディションで受かる子たちの演技の真似はできないな、自分には向いていないなと子どもながらに思っていたんです、もっと自分だけの表現があるのではないかと。
みんなが同じ方向を向いていると、それが“普通”になっていく怖さってあると思うんです。でも、今にして思うと、あの当時、器用にまわりに合わせられなかったからこそ、今日までコツコツやってこられたのかもしれない、と思います。
──優のように、どんな状況になってもまわりに流されずに自分を保ち続けるために、意識されていることはありますか?
青木 そもそも「自分らしい」というのがどういうことなのか、よくわからないんです。ただ、人は変わっていくものだと思うので、「こうでなければいけない」と決めつけないようにはしています。
最近は、その時その時の自分の気持ちを大切にしていれば、環境や一緒にいる人が変わっても、芯がぶれずにやっていけるのではないかと思うようになりました。

