「デジタル選挙時代の今、このネット世論工作は民主主義を破壊するインパクトを持っている」

 一連の動画問題をこう分析するのは、長年メディアと政治・ネット社会を論じてきたジャーナリストの津田大介氏(52)だ。

津田大介氏 ©時事通信社

 匿名の陰に隠れて、ライバル候補や野党に関する真偽不明の情報や偽情報を拡散して印象操作を行う。あるいはある種自作自演のような形で自身を持ち上げる投稿を展開する。高市総理の陣営が行っていたとされるこの一連の行いは、実は古くて新しい問題です。

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「半分くらいが自分たちの作った動画だった」

 前の時代から、候補者に関する“怪文書”問題はありました。しかし大きく違うのは、AIとSNSが発展、進化してきたことです。怪文書なら印刷費や配布人員という物理的制約がありましたが、AIによって少人数でも大量の投稿を作ることができ、SNS上の情報空間を埋め尽くすほどにまで大規模に世論工作を展開できるようになったのです。

「当時TikTokなどで“小泉進次郎”と検索すると、表示される結果の半分くらいが自分たちの作った動画だった」

「AIに造詣の深い起業家」を名乗る松井健さん(動画作成者)のこの証言は、重要な意味を持っています。これが事実だとすれば、政治的な志向を明確に持っているわけではない人のSNS上にも、実は操作された情報が出てくるということになるのです。SNSのアルゴリズム(どんな投稿を表示するか等の計算手順)そのものを事実上操作する段階に至ったという意味で、一つの臨界点を超えたと言えるでしょう。

 そもそも現在のネット選挙は、一部のIT業者のいわば“ダークサイドビジネス”として利用されてきています。ここ数年、NHK党や参政党がインターネットを主戦場にして党勢を拡大してきました。それに目を付けたのが、AIやネットに精通した知見を持つ一部のIT関係者たち。彼らにとってネット選挙は、影響力を誇示して、利益を得ることができるブルーオーシャンになっています。

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 この続きでは、政治とIT業界の関係、さらに自民党とネット工作の浅からぬ歴史を詳しく分析して論じている。「私はこう考える」と題した記事として「週刊文春 電子版」で配信中。

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