だが、社会現象と化した「残クレアルファード」もそろそろ終焉になる可能性が高い。長期金利が上昇局面にあり、自動車ローン金利も今後は引き上げられるだろう。残価部分にまで金利がかかる残価設定クレジットでは、金利が上昇すると支払い額が大きくなり、残クレを頼りにアルファードを買っていた人たちからすると、ちょっと手が出ない金額となりそうだ。

 アルファードの中古車もダブついていることから、高かった残価や買取価格も低下していくのは否めない。つまりアルファードを欲しているマイルドヤンキー層も、今後はアルファードを乗り継いでいくことが難しくなるのだ。

「残クレアルファード」というミームが生まれるほどヒットしたが、今後は厳しい?(トヨタ公式サイトより)

 そもそもエルグランドはアルファードより価格帯が高くなることが予想されている。と、ここまでの情報をまとめると、日産は近年のLクラスミニバン市場を底支えしてきた残クレアルファード系オーナーをハナからターゲットとしていないのだ。これが、真っ向勝負しないと見える2つ目の理由だ。

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エルグランドが狙う「残クレヤンキー」ではない層とは?

 最後に、エルグランドは新たな需要を掘り起こせる可能性を秘めている。

 それがロボタクシー/ロボハイヤーである。また役員送迎車など専属ドライバーを雇ってきた企業も、ドライバーの確保が難しくなってきている。完全自動運転が採用されれば、徐々に企業間での導入は進んでいくだろう。

 今年3月に発表されている通り、英国のWayve、米国Uberと提携する日産がエルグランドとリーフ、アリアなどのフル電動車で目論んでいるのは、自動運転市場の掘り起こしだ。

 エルグランドのエンジンを発電専用としたのは、自動運転において電動車両の方が緻密な制御を実現できるから、と見て取れる。そして完全自動運転によるLクラスミニバンのハイヤーが普及すれば、ハイヤーの勢力図はガラリと変わるだろう。これが、真っ向から勝負しない3つ目の理由だ。

日産の救世主となるか?(日産公式サイトより)

 もっともエルグランドは先代モデルが歩んできたように、マイナーチェンジや特装車で押し出し感の強いフロントマスクが与えられる可能性も低くはない。また2027年度の導入を目指すと発表されている次世代の運転支援システムも、実際には後ろにずれ込む可能性が高い。

 それでも日産にとって新型エルグランドは、今後の業績を占う試金石と言える。なぜなら大胆なリストラクチャリングによって、生産能力を絞り込んでいる以上、大衆車を大量生産する薄利多売ではなく高級車を一定数供給する厚利少売を目指すのは当然のことだからだ。

最初から記事を読む 新型エルグランドは“残クレアルファード”に勝てるのか 日産対トヨタ「ヤンキーミニバン」30年戦争のゆくえ

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