「事実に基づいた虚構である」。Netflixドラマ『地獄に堕ちるわよ』は、冒頭でそう断っている。今なお、虚実ないまぜで語られる数奇な人生。清濁を併せ呑み、莫大な富と名誉を手に入れた稀代の占い師の正体とは――。

 細木が占い師に転身したのは、島倉と決別したあとの82年。独自に編み出したとする「六星占術」の著書を出版し、ベストセラーになったのだ。

「占いは信じない」が信念だった細木

細木は陽明学者の安岡正篤に急接近

 ドラマでは占いの師匠とされた女性が「はっきり言って迷惑です」と、細木の生き様に苦言を呈する場面がある。モデルは著名占術家の(じん)()(れい)(故人)だ。弟子の鯉沼寿慈(ひさよし)が明かす。

「細木さんは、神先生の主宰する『真理占星学』の資料を持ち出し、勝手に占いの本を出版したのです。神先生は晩年も怒りを隠しませんでした。普段はとても穏やかですが、彼女の不義理を語る時は、口調が荒く、早口になりました」

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 初の著書を出版した翌年の83年、細木は陽明学者の安岡正篤に急接近する。

 歴代総理の指南役としても知られた昭和の傑物だが、当時は85歳で認知症の症状が出始めていた。40歳下の細木は安岡に〈誓約書〉を書かせ、強引に入籍。遺族から婚姻無効の確認訴訟を起こされる。結果、同年12月、安岡の死去後に籍を抜いた。

1983年、細木の店を訪れた安岡正篤氏(右)

 ドラマでも安岡をモデルとした大物思想家が登場し、自身の箔付けに利用する様子が描かれたが、実際に細木は打算があったことを「週刊文春」に告白している。