科学的にはどうか。プロアスリートを対象とした大規模な研究はないものの「試合2時間前までの性行為なら運動能力に大きな影響がない」見方が強いようだ。一般的な夫婦間の性行為で男性が消費するカロリーは25〜50kcalとされ、階段をのぼりおりする程度にすぎない。
「射精後不応期」、いわゆる「賢者タイム」が響くことがあるが、若く体力のある選手ならリスクが低い。むしろ内分泌学を専門にするエマヌエーレ・ジャンニーニによると、3か月禁欲するとテストステロン値が子ども並に下がってしまうおそれすらあるそうだ。
対照的に、女性の場合、オーガズムによるテストステロン値の急増がアグレッシブなプレーの促進に寄与する可能性を指摘する研究者もいる。総合格闘技チャンピオンだったロンダ・ラウジーは、試合前に「なるべくたくさんのセックス」をするようつとめていたほどだ。
選手のコンディションを守るため…監督おすすめのプレイ内容は
ただし、選手の性生活を制限する目的は、セックスにとどまるものではない。コンディションの調整こそ重要なのだ。自慰行為を含めた性行為でリラックスして眠れるなら良いが、睡眠が妨げられたり飲酒してしまったりしたら元も子もない。
ブラジル代表の「アグレッシブなセックス厳禁」ルールも突飛なわけではない。性行為による怪我、とくにシャワーでの転倒事故は珍しくない。
プレイ内容を指導する監督もいる。伊インテル・ミラノの指揮を取っていたアントニオ・コンテのおすすめは、親しいパートナーに上に乗ってもらう体位で、なるべく短く低い労力で済ますスタイルだという。
もちろん、いくら準備万端で挑んでも、波乱万丈なのがワールドカップだ。ブラジル大会で「セックス禁止令」が話題になったメキシコ代表は、2018年ロシア大会に向けた親善試合のあと、30人もの風俗嬢を集めて乱交パーティーを繰り広げたとスクープされた。
選手たちの否定もやむなく一気にスキャンダルとなり、チームの連帯が危ぶまれる事態に陥ってしまった。しかし、いざワールドカップがはじまると、初戦で前回王者ドイツをサプライズ撃破。「怒り狂う妻に名誉挽回するため奮起した」と茶化されたのは言うまでもない。試合が終わるまで、サッカーの神さまがいつ微笑むかはわからない。


