食べるものも、冷蔵庫も、住む場所も
本書に出てくる5人の女性は、いつも自分の気持ちを少し後回しにして、色んなことを諦めて生きている部分がある。自分は特別な人間じゃないと思い、人生の主役じゃないように扱っている。
でもハタから見たら、みんな魅力的なのだ。敦子は自分では気づいていないが、胸を張りまくって自慢していいぐらい料理上手で、陽愛乃はとてもおばあちゃん思いで優しく、寿子はどんな場所でも周りと適応し、でも染まらない気概がある。花絵は一人で4人も立派に育てているなんてものすごいことで、多美は動物に優しく、立派に一人立ちして周囲と比べたり流されたりしない強さがある。誰もができないことをやっているのに、自分を優先していないからそこも見えていなくてもったいない。でも真っ直ぐ生きていたら、ちゃんと見てくれてる人たちもいるんだなぁと、そういうところにも救われる。
与えられた運命の中で生きていくのは別に悪いことじゃないけど、ずっと後回しにしていると、どこかで自分が削がれていく感覚がある。でも、自分次第で変えられるし、変えてもいい。食べるものも、冷蔵庫も、住む場所も。思い切って自分を優先する。大切にしてくれる人に時間を割く。少しのことで人生が動き出すところに勇気をもらえた本だった。
<おまけ 作中の料理について>
真っ赤なトマトのサラダ、しらすトースト、なすのおやき、2回片栗粉をまぶしたカリカリガーリックのチキンソテーを作りたくなった。小松菜とにんじんの白和えが美味しそう。台所の真ん中に揚げ鍋が毎日あるの、いいなぁ。これだけだとすごく明るい家庭の肝っ玉母ちゃんって感じがするのに、そうじゃない事情があるんですよね。
