――女性という属性が、関心を集める要素になってしまっているんですね。
藤谷 キャッチーな事件を面白がって消費したい欲求は私自身にもあります。それこそ最近『アニータの夫』(柏書房)って本が出ましたけど、青森県住宅供給公社で経理を担当していた千田郁司が、14億円横領してチリ人の妻・アニータ・アルバラードに送金していた事件。
当時ワイドショーを筆頭に世間は大盛り上がりでしたけど、私自身それを無責任に面白がっていましたし、本も発売後すぐに読みました。面白かったです。ただ、あの事件を「千田郁司」事件とはいわないし、アニータの本のタイトルは「千田の妻」ではなく『わたしはアニータ 』(扶桑社)ですよね。
――確かに難しい問題です。自覚的にならないといけないですね。
藤谷 ただ、自覚してたらセーフというものでもないですし、どこまで本当に自覚できているか本人にはわからないことも多いですよね。
たとえば泥酔している人ほど「酔ってない」っていうじゃないですか(苦笑)。「いい客」でいようとしても、それ自体が免罪符にはならないのと似たようなものだと思います。
「考えさせられた」と言いたい人のために書いた本です
――最後に改めてお聞きしたいのですが、当初はお客さんとして利用した女性用風俗について、実体験もオープンにしながら本を書こうと思ったのはどうしてでしょうか。
藤谷 シンプルにこういう話を書いた本が見当たらなかったからです。それは書いたほうがいいんじゃないかって。私よりも頭が良くて明瞭な文章の書き手に書いてほしいな〜とか思ってたんですけど、まあ、そういう話は結局自分しか書き手がいないのだな、という。ないよりはあったほうがいいと思ったから書きました。
――では、特にどんな人に読んでほしいですか?
藤谷 社会問題の記事を読んだ人の感想でよく見る「考えさせられた」って表現がありますよね。不思議なのは、「させられる」って受け身というか、ネガティブな表現であるはずなのに、特定の問題に関してはよく使われる。
この本は、いろんなことを一緒に考えてほしいな、考えさせてやるからな! という思いを込めて書いたので、「考えさせられたい人」にぜひ読んでいただきたいです。「考えさせられたい」、そんなあなたのための本です!
