120分で2万円――。女性用風俗の料金設定は、はたして適正なのか。男性セラピストたちは安心して働けているのだろうか?
そんな、なかなか光の当たらない部分に疑問を投げかけるのは、ライターの藤谷千明さんによるルポ『人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』(中央公論新社)だ。
離婚後、初めて女性用風俗を利用した藤谷さんは、サービスに満足しつつも「搾取」の2文字が頭をよぎったという。接客するセラピスト、風俗店のオーナー、業界を去った元スタッフなど、様々な人との対話を通じて考え続ける藤谷さんに「女性用風俗について考えたこと」を改めて詳しく伺った。(全2回の1回目)
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後腐れない付き合いができる相手が欲しかった
――藤谷さんが女性用風俗の利用を始めたのは、2010年代の終わり頃、つまりコロナ禍の直前だったんですよね。
藤谷千明さん(以下、藤谷) そうですね。当時は離婚したばかりで、親密な関係はほしいけど、長く付き合うパートナーより後腐れのない関係がいい、という状態でした。
しかしながら、マッチングアプリにいる同年代は既婚者が多くて! こちらはプロフィールに「既婚者NG」と書いてるのに、それでも後出しで「実は……」という人もいた。昨今問題になっている「独身偽装」ですけど、性欲のために人を騙すな、今すぐやめろといいたい。……それはさておき、それで、ちょっとうまくいかなかった。でも性欲を解消したいとか、他者に触れたいという思いはやっぱりあって。
当時は女性用風俗がメディアで取り上げられる頻度が増えてきた時期でした。例えば、2024年にAmazonPrimeビデオでドラマ化された渡辺ペコさんのマンガ『1122』(2016~2020年まで連載)だったり、永田カビさんのエッセイマンガ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(2016年)だったりがあって。後者は女性が女性を接客するいわゆる「レズビアン風俗」ですが。
ネット配信番組にも女性用風俗のセラピストの方が出演してたのを観たことがあったし、当時すでにSNSやブログ、掲示板には女性客による体験談がたくさんありました。もし問題が頻繁に起こるような業界だったら大手メディアは取り上げないだろうと思ったんです。
それで検索してみたらお店のサイトが出てきて、料金も払えない額ではなかった。というわけで、利用に踏み切りました。
