メディアはいつも女性の「内面」にばかり注目している――。
離婚をきっかけに女性用風俗を初めて利用したライターの藤谷千明さん。ルポ『人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』(中央公論新社)を書くために調査を始めてから疑問を抱いたのは、風俗を利用する女性側の事情ばかりがメディアで注目されている実態に対してだ。
女性用風俗のセラピストや経営者と対話し、自身も男性用風俗の現場に飛び込んで調査した藤谷さんが語る、性風俗を通じて見えてくる男女の不均衡、そしてかわいそうな少女に欲情する社会の歪みとは……。(全2回の2回目/最初から読む)
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女性と男性が求める「風俗で接客してもらいたいタイプ」の違い
――女性用風俗と男性用風俗の現場をそれぞれ見たり関係者に話を聞いたりして、「ここが違う」と感じたところはありますか? 本のなかでは利用客が求めるものが違うと書かれていましたが……。
藤谷千明さん(以下、藤谷) 私は大枠ではそこまで変わらないと感じたのですが、取材した方々のなかでは「女性のほうがニーズが細かい」と指摘する方がいました。普段女性のほうが細かいことを求められがちな面があるので、自分がお金を払う立場になった時に細かいケアや気遣いが当たり前だと思ってしまうのは、想像に難くないですよね。
一方で、「男性(キャスト)の若さには価値がない」と話している方もいました。この本を書く際に、私自身も男性向けの風俗店でしばらく働いたのですが、求められるキャスト像は女性の場合「素人っぽさ」「初々しさ」はそこまでネガティヴに捉えられていなかったものの、これが女性用風俗の男性セラピストだった場合、自分の振る舞いは許されないだろうなとも思いました。
――言われてみれば、男性で「無知である」ことが売りになるって、あまりないかもしれませんね。
藤谷 ただ、本書で取材したセラピストのなかには「女の客も男の客も、女風セラピストや風俗嬢に“バカであってほしい”と思っている」という人もいました。「都合の良い存在であってほしい」という意味では変わらないのかもしれません。
そもそも男女も業種も関係なくお金を払う側になると立場が強くなるので、傲慢になってしまう傾向にあるのではないでしょうか。
――買う側と売る側で上下関係ができてしまう、と。藤谷さんは実際に男性用風俗の現場でも働いた結果、やはりギャップを感じましたか。
藤谷 そうですね。たとえば私は、お客さんとして女性用風俗を利用しているときは自分のやってほしいこと、反対にやってほしくないことを男性に伝えることに抵抗はありませんでした。
たとえば、爪で粘膜を傷つけないように「フィンドム」っていう指につけるコンドームのような商品があるんですけど、自分がお客さんの立場だと「それを使って」と言えるのに、反対に自分が男性用風俗で働く立場になると難しくなるわけで。
また、挿入、いわゆる「本番行為」はないお店でも、性器の接触はありますよね。とはいえ男性客で自分からコンドームをつけたがる人は本当に少なかったです。自分自身のリスクにもなりうるのに。
