だがデジタルネイティブ世代は、そもそもW杯でプレーする自国代表チームを見たことがなく、アッズーリのユニフォームにも思い入れがない。イタリア代表がW杯出場を逃し続けた結果、代表チームに無関心な世代がついに出現したのだ。

 3月末にサッカーのイタリア代表が予選敗退を喫したとき、時期をほぼ同じくしてラグビー代表が母国イングランドから初勝利を上げ、野球代表もWBCで米国を初めて倒してベスト4進出という歴史的快挙を達成した。

 先んじて自国開催したミラノ・コルティナ冬季五輪ではイタリア選手団が同国史上最多のメダル30個を獲得し、昨秋にはバレーボール男女代表が世界選手権でダブル優勝を成し遂げている。

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 F1界では今季開幕から6戦5勝という弱冠19歳のイタリア人天才ドライバー、キミ・アントネッリが現れた。現在のテニス界を席巻するのはヤニク・シンナー(24歳)を筆頭とする若きイタリア勢だ。他にも陸上界や水泳界でも世界トップレベルのアスリートが出現している。

 実は近年のイタリア・スポーツ界は、あらゆる競技で空前の活況を呈している黄金期といっていいくらいなのだ。

「指導者、選手、ビジョン、そしてそれらを選択した者たちの問題だ」

 ではなぜ、サッカーの代表だけ芳しい結果を出せないのか。

 予選敗退後、この他競技との比較はイタリア国内でさんざん議論されてきた。

 W杯プレーオフに敗れた直後の会見で記者に詰め寄られたFIGCグラヴィーナ会長は「サッカーはプロ競技。他はアマチュア競技だから(いっしょにするな)」と失言し、国内のあらゆる競技関係者の逆鱗に触れて大炎上。結果的に失職へ追い込まれた。

 サッカー界の体たらくを責める、安易な風潮に抗いながら『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙の評論家マルコ・ブッチャンティーニは、カルチョと他競技の関係を冷静に説いてみせた。

「イタリアは個人競技でもチーム競技でも強い。一国において、あるスポーツが別のスポーツを脅かし不毛にすることはない。むしろ多様なスポーツの発展がより広範囲の強化を呼びこむといっていい。つまり、サッカーの危機はサッカー界自体の問題だ。指導者、選手、ビジョン、そしてそれらを選択した者たちの問題だ」