少子化は日本に劣らずイタリアでも重要な社会問題だ。一人あたりの子育てコストは増大し、その代償に親の求める理想は高くなる。

 イタリアサッカー界は今でも上品な世界とは言い難く、U-13年代の保護者間ですら罵詈雑言が飛び交う状況を高学歴の親が忌避する向きも否定できない。

 現代のイタリアの小学生にとって、サッカーはもはや道端や公園でボールさえあればできる手軽な遊戯ではなくなった。水泳や英語塾、楽器教室などと同様、月謝を払ってサッカースクールで教えてもらう習い事になってから随分と久しい。

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「昔と比べてイタリアの子供は道端でサッカーをしなくなった。アパートの階段の踊り場、駐車場、場所なんてどこでもよかった。だから創造性が育まれたんだ」とは、筆者が取材したセリエAプレーヤーから異口同音に聞いた言葉だ。

「セリエAの試合でグラウンド上に最低1人のU-19選手起用を義務づけてはどうか」と提案したのはユヴェントス監督ルチャーノ・スパレッティだ。

 指導者や解説者、識者にOB。誰もが己の立場から自分の見識を使って議論を交わす。誰もが一家言をもつのに、誰も最適解をもっていない。かつて栄光極めたイタリアならではのジレンマがある。

アンダー世代ではヨーロッパ王者になったりしているのに…

 W杯出場国が本体開幕前のテストマッチを行っていた6月初旬、イタリア代表はFIFAランク98位ルクセンブルクと同47位ギリシャとの親善試合に臨んだ。

 前監督ジェンナーロ・ガットゥーゾが引責辞任したため、U-21代表監督だったシルヴィオ・バルディーニが暫定的に指揮を任され、子飼いの若手たちを大量招集した。

 フル代表組は主将でもある正守護神ジャンルイジ・ドンナルンマやFWピオ・エスポージトらごくわずか。フル代表デビューの緊張に晒された多くの若手選手たちは、大雨や数的不利という悪条件に屈せず、アウェーでの連戦をどちらも虎の子の1点を守りきって勝つ、イタリアらしさ満点の戦いを見せた。

 実はアンダー世代のイタリア代表は、他の欧州強豪国と比べて決して劣るわけではない。今年6月のU-17欧州選手権ではベルギーを下して優勝したし、2023年のU-19欧州選手権でも優勝、同年のU-20ワールドカップでも準優勝している。