宗教的な反発がある一方、人工子宮を望む声は、時代とともに大きくなってきた。

 医療的理由で妊娠が難しい女性や、シモーヌのように〈出産という非効率を、テクノロジーで解決する〉合理的なシリコンバレー富裕層、先鋭的フェミニストやLGBTからも、社会的平等のために女性たちを肉体的に解放する〈革新的テクノロジー〉として、賛同されているのだ。

イーロン・マスクと重役の14人の子供たち

 シモーヌは、36歳で事業を成功させ十分な経済力を手に入れると、凍結していたAランク受精卵を解凍し移植、1回の出産を効率化するために、意図的に複数の受精卵を移植して、37歳で双子(男児と女児)を産んだ。20代で質の高い卵子を凍結しておき、30代後半で進化した遺伝子選別技術を使う。

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 彼女にとって37歳という年齢は、「母体としての限界」ではなく、「投資家(親)」としての準備が整い、かつ技術(選別)が完成した、最も利益率が高い収穫期だった。

「出生主義」を信奉するイーロン・マスクやコリンズ夫妻にとって、女性の身体を使わず、工場のように一度に10人、20人と「選別された子供」を安全に育成する人工子宮は、「子だくさん」のためのものでは決してない。

 それは、「戦略的エリートの再生産」のためであり、優秀な知能を持つ人間を量産し、AIに文明を奪われないための、重要なバイオテクノロジーなのだ。

 IQが際立って高い者を優先的に採用することで有名なイーロン・マスクは、その信念を、あちこちでこう呼びかけている。

「高い知能を持つ者が子供を増やさないと、人類全体のIQが下がり、文明が維持できなくなるぞ」

 マスクは自社の重役たちにも「賢い君たちはどんどん子供をつくるべきだ」と熱心に勧め、女性幹部には、IQの高い自らの精子を提供することを提案、自身も遺伝子検査と体外受精を大いに活用し、複数の女性たちとの間に14人子供をつくった。

写真はイメージ ©︎AFLO

 彼らは、いずれは父親の事業であるテスラやスペースX、火星移住などを引き継ぐ「ハイスペックな次世代チーム」の一員だ。

 マスクはその子たちを、古代ローマの軍団を意味する「レギオン」と呼び、テキサスに広大な敷地を購入、そこに子供たちと母親たちを住まわせる計画を立てている。

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